2003 Fiscal Year Annual Research Report
胎児手術創はscarless healingとなり得るか
Project/Area Number |
15659419
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
脇坂 宗親 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30267596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英章 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70339852)
小池 淳樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (40308440)
北川 博昭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (80153097)
古田 繁行 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (80350619)
中田 幸之介 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70081734)
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Keywords | 胎児手術 / 創傷治癒 / 瘢痕形成 |
Research Abstract |
胎児の創傷治癒は非瘢痕性治癒(scarless healing)と言われている.しかし胎児期に形成された手術創の治癒過程を論じている創傷は、ほとんどの場合、鋭利な刃物による切創の創傷治癒についてのみ述べられている。胎児が受ける創傷はそのほかにも裂創やamniotic band syndromeのように索状帯の圧迫による圧傷など、様々である。そのような胎児期に発生する可能性のある様々な創傷の治癒機転に関し,全ての胎児創傷がscarless healingをきたすか否か、検討した。 実験方法:妊娠羊を用いて在胎60日に胎盤血流を保ったまま帝王切開し胎仔を視野に出し,胎仔の腹部をメスで鋭利に正中切開し創部はモノフィラメントの吸収糸を用いて縫合閉鎖した(縫合創).次いで胎仔の背部の皮膚を引き裂き,解放したままにする(離開創)を作成した.創の両端に非吸収糸でマークをつけ創傷形成部を判別できるようにした.その後妊娠を継続させ,術後48時間,3日,5日,7日で薬殺し創を切除標本として肉眼所見に加え、組織の光顕的検索を行った.また一部は妊娠を継続させ満期145日まで管理した. 結果:羊20匹を用いて33胎仔に胎生60日で胎仔手術をおこなっ牟.48時間後の背部の組織は4匹,3日後は4匹,5日後は3匹,7日後は6匹の組織を採取した.残り9匹は妊娠を継続させ満期で薬殺した.全経過の生存率は78%であった.離開層において48時間では創はまだ開いており,3日で線維芽細胞の増生,血管新生を認めた.この時点ではまだ上皮は覆っていない.5日,7日と経過していくと線維芽細胞の数が増えて上皮が再生されている.皮膚の欠損部分は両側から上皮化が起こってくることが確認できた.また満期まで妊娠を継続し瘢痕形成が起こっている郡では,脂腺と汗腺の割合に変化が生じている可能性が示唆された.
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