2003 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞におけるシスタチンCの新たな機能(蛋白分解酵素活性抑制以外)はあるか?
Project/Area Number |
15659437
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山座 孝義 九州大学, 歯学研究院, 助手 (80304814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 輝男 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60077667)
城戸 瑞穂 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (60253457)
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Keywords | 破骨細胞 / シスタチンC / 分化 / 骨吸収 / 生存 / M-CSF / RANKL |
Research Abstract |
マウス長管骨より骨髄細胞を採取し、M-CSFで2日間刺激し、さらにM-CSF+RANKLで3日間培養し、多核(3核以上)で、TRAP陽性の破骨細胞様細胞を分化させる系を用いた。培養開始時点、培養2日時点で、種々の濃度のシスタチンCを添加して、破骨細胞の分化に対する影響を、TRAP陽性多核細胞をカウントすることで解析した。対照群と比較して、5日間連続的にシスタチンCを添加した群およびM-CSF刺激期間のみシスタチンCを添加した群では、濃度依存的に有意にTRAP陽性多核細胞数が減少していた。また、M-CSF+RANKL刺激期間のみシスタチンCを添加した群では、TRAP陽性多核細胞数が観察されなかった。さらに、象牙質片上で培養した場合、5日間連続的にシスタチンCを添加した群およびM-CSF刺激期間のみシスタチンCを添加した群では、吸収面が減少し、M-CSF+RANKL刺激期間のみシスタチンCを添加した群では、吸収面は存在しなかった。 次に、上記培養法で、分化させた破骨細胞の、生存に対するシスタチンCの影響を探索した。培養後、M-CSF+RANKLを添加していない培地にシスタチンCを添加した場合、破骨細胞の延命効果が認められた。 現在、破骨細胞の膜画分を抽出し、シスタチンCに対する受容体を同定中であり、また免疫細胞化科学的にその局在を解析中である。さらに、破骨細胞のへの延命効果に対するアポトーシスの影響も検索中である。 したがって、シスタチンCは、破骨細胞の分化に対して抑制的に作用するのに対し、生存には、促進的に作用することが示唆された。今後は、シスタチンCによる破骨細胞内のシグナル伝達の解明を行う計画である。
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