2003 Fiscal Year Annual Research Report
QOLと費用効果を基軸にした痴呆患者に対する歯科介入の標準化
Project/Area Number |
15659457
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 雅彦 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (60195211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 一彦 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (40151089)
阿部 昌子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30175905)
岩松 正明 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30343031)
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Keywords | 痴呆 / 軽度認知機能障害 / MMSE / QOL / 費用効果 / 歯科介入 / 唾液コルチゾール / ガイドライン |
Research Abstract |
今年度は、地域における痴呆患者およびその予備軍とされる軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)患者の実態ならびに歯科的因子との関連を検討する目的で、仙台市宮城野区鶴ヶ谷地区で70歳以上地域高齢者を対象に実施された鶴ヶ谷寝たきり予防健診において収集されたデータから、口腔内状況や歯科受療行動と、痴呆のスクリーニングに用いられるMini-Mental Stale Examination (MMSE)スコアとの関連について、統計学的な分析を行った。今回は、過去の研究を参考に、MMSEが21点以下を痴呆の疑い、22〜27点をMCIの疑い、28点以上を正常と分類した。 対象者1,167名のうち、痴呆の有病率は4.7%、MCIの有病率は39.4%であった。対象者を痴呆群、MCI群、正常群の3群に分類したところ、平均年齢は、痴呆群、MCI群、正常群の順に高いことから、年齢の影響を受けることが明らかになったので、年齢を調整した共分散分析法によって口腔内因子を比較した。その結果、現在歯数は、痴呆群が正常群より有意に少なく、欠損歯が放置されている数は、痴呆群、MCI群、正常群の順に有意に多いことが明らかになった。歯科受療行動については、1群:定期的な受診、2群:気になるところががあればすぐ受診、3群:支障があるときだけ受診、4群:悪くなっても受診しない、に分類して、各群でMMSEスコアを比較したところ、1群は3、4群より、2群は4群より、それぞれ有意に高いスコアを示した。 これらの結果から、痴呆患者ならびにMMSE患者では、現在歯数が少なく、また欠損歯があっても補綴治療を受けない傾向にあり、歯科受療行動も消極的であることが明らかになった。したがって、痴呆患者に対しては積極的な歯科介入の必要性が示された。
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