2003 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動調節機構の解明に向けて-GABA(A)受容体の内在化システムを探る-
Project/Area Number |
15659495
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
赤坂 徹 明海大学, 歯学部, 助手 (60316263)
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Keywords | 咀嚼運動 / 三叉神経中脳路核 / ニューロン / GABA(A)受容体 / 内在化 / ジアゼパム / 免疫組織化学染色 / ムシモール |
Research Abstract |
本研究はラットの三叉神経中脳路核ニューロンにおけるGABA(A)受容体の内在化現象を明らかにし、咀嚼運動の特殊なメカニズムの一端を解明するために立案したものであるが、いくつかの成果が得られたのでここに報告する。 三叉神経中脳路核ニューロンにおいてGABA(A)受容体にはα2、α5サブユニットが含まれていることが明らかになっているが、α2サブユニットに対する一次抗体を用いた免疫組織化学染色では良好な染色像が得られた。このため、α2サブユニットに対する一次抗体を用いた免疫組織化学染色像上で内在化現象の検討を行うこととした。 次にGABA(A)受容体を賦活化するジアゼパムを投与した群とコントロールとして生理食塩水を投与した群で三叉神経中脳路核ニューロンにおけるGABA(A)受容体の免疫組織化学染色における蛍光強度を比較し、検討した。ジアゼパム投与群では細胞体の蛍光強度の減弱が認められたが、ニューロン細胞体の外形が不明瞭になり、蛍光強度の計測時に蛍光強度が過小に評価されている可能性が考えられたため、咬筋神経からローダミンを逆行性に細胞体まで取り込ませ、ローダミンの赤色の蛍光で細胞外形を明示し、免疫染色時の蛍光強度を計測する方法をとった。この時も、ジアゼパム投与群で蛍光強度の減弱が認められた。また、ムシモール(生体内ではGABAと同様の作用をもたらす)を投与した群とコントロール群の比較・検討でも同様な結果が示された。これらの蛍光強度の減弱については細胞膜表面に存在していたGABA(A)受容体が細胞内に取り込まれ、分解されたために生じた可能性が考えられた。また、蛍光強度の減弱が細胞の不可逆的な傷害によりもたらされている可能性が考えられたため、ジアゼパム投与6時間経過群について同様な検討を行ったところ、コントロール群との間に有意差は認められなかった。このことからアゴニスト投与群に生じた蛍光強度の減弱は細胞傷害ではなく、GABA(A)受容体の内在化のために生じている可能性が高まった。
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