2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移殖成人レシピエントの術後精神症状の解析とケアモデルの開発
Project/Area Number |
15659515
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤澤 千春 京都大学, 医学部, 助教授 (70324689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥津 文子 京都大学, 医学部, 講師 (10314270)
桂 敏樹 京都大学, 医学部, 教授 (00194796)
稲本 俊 京都大学, 医学部, 教授 (10135577)
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Keywords | 生体肝移植成人レシピエント / 術後精神症状 / 不安尺度 / コーピング / Locus of Control / 家族機能役割 / 身体的データ |
Research Abstract |
今年度は(1)データ収集(2)データ分析を行った。(1)データ収集は平成15年度に作成した質問紙を使用し、対象の同意を得ておこなった。(2)同意を得られた対象は42例で男20名、女22名であった。平均年齢は49±12.6歳であった。術後精神症状を発症したのは12名で発症率28.6%であった。術後精神症状の内訳はせん妄7名、抑うつ6名、見当識障害2名、極度の不安2名であった。術後せん妄は移植後7日頃で発症し、抑うつは約17日後に発症しやすい結果となった。また、年齢でも術後せん妄が平均年齢約57歳、抑うつ約43歳で、・年齢が低いと抑うつになりやすく、年齢が高いとせん妄を起こしやすい傾向を示した。 不安尺度の結果の平均は状態不安、特性不安ともに高い得点となり、この得点が高いほど術後精神症状を発症しやすい傾向を示した。コーピングテストでは術後精神症状を生じた対象は問題焦点型と回避・逃避型コーピングの得点が高い傾向であった。Locus Of Controlでは術後精神症状の発症の違いで外的コントロールと内的コントロールの得点が反対となった。つまり、術後精神症状を発症した対象は今ある現象は自分ではどうしようもできないと考えやすい結果であった。家族機能役割ではバランス型の家族は術後精神症状が発症しにくい結果であった。身体的要因では血小板、出血時間の値が悪い場合は術後精神症状を発症しやすい結果であった。生体移植後の対象は不眠率が42.9%と高く、不眠の半数が術後精神症状を発症した。また、術後回復過程を起立時期、歩行時期・食事開始時期で示した時、術後精神症状を発症した対象は発症しなかった対象と食事開始時期で比べで4日も遅くなった。次年度は、これらの結果から移植前の心理状態、家族関係、身体的データをもとにケアシートを作成し、移植後の時期により発症しやすい術後精神症状に着目しつつ、有効な看護介入を行う予定である。
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