2003 Fiscal Year Annual Research Report
極低出生体重児の父親の役割と家族形成との関連についての研究
Project/Area Number |
15659519
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
中富 利香 宮崎大学, 医学部, 助手 (20347066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 哲 神戸大学, 医学部, 教授 (10216658)
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Keywords | 極低出生体重児 / 家族 / 父親の役割 |
Research Abstract |
わが国では極底出生体重児などのハイリスク児の生存率が高まり、早期育児支援や継続的なフォローの必要性がいわれている。本研究の目的は極低出生体重児を出生した家族において早期の父親の役割と家族形成との関連を明らかにすることである。 今年度はその予備調査として、極低出生体重児を第1子として出生した家族の父親および母親10組を対象に家族の危機段階とされる子どもの退院1ヵ月後と、安定期に入るとされる3〜4ヵ月後の2時点において縦断的に半構成的面接を行い、低出生体重児の父親が果たしている役割を検討した。 その結果、子どもの退院1ヵ月後の段階における父親は初めて24時間子どもと生活を共にし、病院で認識していなかったわが子の側面に困惑しながら病院環境を基準に生活環境を整えていた。同時に妻とのパートナーシップを中心に家庭生活を機動させようとしていた。このことから「わが子の生活環境を整える」「生活するわが子との関係性の再構築」「母となった妻との新たなパートナーシップ」「わが子を加えた家族の基盤強化」「父親役割を加えた自己統合」の5つの父親の役割行動が見出された。子どもの退院3-4ヶ月後の段階における父親は、家庭生活する子どもの生活パターンや成長発達の特徴を理解し、生活環境においても病院の基準からわが子の特徴を基準に整えることを実践していた。また夫婦がそれぞれの生活パターンを再確立させながら育児を行えるように自己と妻を尊重する行動をとっていた。このことから「妻と共に子どもの日常を共有する」「家族メンバーの生活を自立させる」の2つの父親の役割が見出された。 今後の研究方針として今年度で得られたデータを基に質問紙票を作成し全国調査を行い極低出生体重児の父親が果たしている役割の特色を見出す。また家族機能尺度を用いて家族機能を評価し、早期育児期にある父親の役割と家族機能の関連を明らかにする。
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