2003 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体劣性若年性パーキンソニズムの原因遺伝子産物Parkinの機能解析
Project/Area Number |
15680011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今居 譲 独立行政法人理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, 基礎科学特別研究員 (30321730)
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Keywords | パーキンソン病 / ユビキチン-プロテアソーム / 神経変性疾患 / Parkin / Pael-R / 小胞体関連分解 / Lewy body / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
パーキンソン病は黒質ドーパミン作動性神経細胞の欠落を特徴とする神経変性疾患である。本疾患は大部分が孤発性であるが5〜10%は遺伝性の形態をとり、その原因遺伝子を解析することがこの研究の端緒となっている。常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR-JP)の原因遺伝子産物Parkinは、ユビキチン-プロテアソーム経路のユビキチンリガーゼとしての活性をもち、パーキンソン病タイプの変異体にはこの活性がない。 我々はParkinの基質として、ドーパミン神経細胞に豊富に発現する膜タンパク質パエル受容体を同定した。パエル受容体を神経系培養細胞内で過剰発現させると、折り畳みに失敗し不溶化したパエル受容体が小胞体内に蓄積し、細胞死が観察された。野生型のParkinを遺伝子導入すると異常な折り畳みのパエル受容体の分解が促進されるとともに、細胞死も抑制された。さらに個体レベルでの研究において、ショウジョウバエ脳組織全体にPael-Rを過剰発現するとドーパミン神経細胞のみが変性欠落した。この変性は、内因性のParkinの発現抑制により重篤になった。以上の結果から、Parkinが異常な折り畳みのパエル受容体を基質として分解することにより、ドーパミン神経細胞死を防いでいるという仮説を立てた。さらにほ乳類動物レベルでの仮説の検証とパーキンソン病モデルマウスの作製の目的で、ParkinノックアウトマウスとPael-Rトランスジェニックマウスを作製し、現在解析中である。 その他、Pael-Rがパーキンソン病病理の一大特徴であるタンパク質封入体Lewy bodyに存在することを免疫染色で確認した。さらに、Parkinとプロモーターを共有し、発現が制御されているGlupが、封入体形成に関与し、神経細胞死を抑制することを示唆する結果が得られた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Imai, Y.: "How do Parkin mutations result in neurodegeneration?"Current Opinion in Neurobiology. 14・3(in press). (2004)
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[Publications] Murakami, T.: "Pael-R is accumulated in Lewy bodies of Parkinson's disease"Annals of Neurology. (in press). (2004)
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[Publications] Imai, Y.: "A product of the human gene adjacent to parkin is a component of Lewy bodies and suppresses Pael receptor-induced cell death"Journal of Biological Chemistry. 278・51. 51901-51910 (2003)
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[Publications] Yang, Y: "Parkin suppresses dopaminergic neuron-selective neurotoxicity induced by Pael-R in Drosophila"Neuron. 37・6. 911-924 (2003)
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[Publications] Takahashi, R.: "Pael receptor, endoplasmic reticulum stress, and Parkinson's disease"Journal of Neurology. 250・Suppl3. III25-III29 (2003)
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[Publications] Takahashi R: "Parkin and endoplasmic reticulum stress"Annals of the New York Academy of Sciences. 991. 101-106 (2003)
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[Publications] 今居 譲: "パーキンソン病におけるドーパミン神経細胞死:異常タンパク質の蓄積は原因か結果か?"蛋白質・核酸・酸素「細胞における蛋白質の一生」. 増刊号(In press). (2004)
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[Publications] 今居 譲: "小胞体ストレスと神経変性疾患"痴呆症学. 61・増刊9. 77-82 (2003)