2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15681014
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若山 照彦 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, チームリーダー (40360672)
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Keywords | 精子 / 非凍結保存 / 室温保存 / 顕微受精 / 生殖細胞 / 核移植 / ES細胞 / 胚移植 |
Research Abstract |
精子の室温保存方法を確立するため、最初に培養液の開発を行った。通常の保存では精子の生存が不可欠だが、顕微授精技術を用いることで死んだ精子からでも産子を得ることが可能になる。そのため精子の生存性は無視し、顕微授精後に産子を得られるかどうかを検討した。通常の培養液では精子は数日で死に、顕微授精しても1週間が産子の得られる限度であった。4℃で保存しても、10日から15日が限界であった。次に、保存用培養液の開発として、塩分濃度を上げ、塩漬けにしたらどうなるか検討した。塩分濃度を上げ、通常の培養液の浸透圧272mOsmを800mOsmまで上昇した場合、精子は直ちに運動を停止し死滅してしまうが、顕微授精後の産子への発育率は飛躍的に上昇した。その結果、60日間保存しても40%以上の高率で産子が得られるようになった。現在はさらに保存期間を延ばすために、酸化防止剤の添加、空気を不活性ガスとの交換、保存容器などを検討している。 一方、ミュータントマウスや事故で精子をなくしたマウスからでも産子を得ることを目的に、さまざまな実験を行っている。妊娠中期で流産してしまうマウスを救済するために、12.5dpcの胎児の精巣から生殖細胞を取り、ヌードマウスの皮下および精巣内に移植したところ、精子発生を確認したので顕微授精した結果、正常な産子を得ることに世界で始めて成功した。さらに我々は、精子どころか生殖細胞を完全に持たない不妊オスマウスから、核移植およびES細胞の技術を組み合わせることで、尻尾から体細胞由来ES細胞を作ることに成功した。そのES細胞からキメラマウスを作出し、交配試験をしたところ、不妊マウスの体細胞由来ES細胞はキメラマウスの精巣内で精子に分化し、次世代を作ることに成功した。
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[Publications] Wakayama S, et al.: "Effect of timing of the removal of oocyte chromosomes before or after injection of somatic nucleus on development of NT embryos"Cloning and stem cells. 5. 181-189 (2003)
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[Publications] Ohta H et al.: "Full-term development of offspring using ectopically produced haploid germ cells from fetal male germ cells"Journal of Reproduction and Development. (In press). (2004)
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[Publications] Yanagimachi R et al.: "Production of fertile offspring from genetically infertile male mice."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (In press). (2004)
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[Publications] Ohta H, et al.: "Commitment of Fetal Male Germ Cells to Spermatogonial Stem Cells During Mouse Embryonic Development."Biology of Reproduction. (In press). (2004)
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[Publications] Kishigami S et al.: "Similar time restriction for ICSI and ROSI into activated oocytes for efficient offspring production"Biology of Reproduction. (In press). (2004)