2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15684001
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
森岡 達史 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (80239631)
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Keywords | 変換理論 / 光の回折 / 量子化 |
Research Abstract |
光のふるまいを数学により観測しようとすると、波動方程式の漸近解を構成することが必要になる.漸近解を構成するとき、あらかじめその形を定めてからEikoal方程式と輸送方程式を解くのが従来の方法である。解の形を先に決める以上、それが本当に正しいかどうかは実際に方程式を解いてみるまではわからないのが注意すべき点である.狭義凸な障害物により光が回折する現象を考えるとき、従来の方法を適用すると、影の部分における解のふるまいは誤差項の中に埋込まれてしまう。そこで、誤差項から主要項をとり出すことが必要になる。このとき、先に決めた解の漸近形は適切かどうかという問題が生ずる。Grazing rayの近傍における漸近解の各項を定める輸送方程式は複雑なので、この問題を直接考察するのは困難である。そこで方程式を標準形に帰着して解く方法が必要になる。 行列の場合、標準形の構成は行列が作用するベクトル空間の基底のとりかえによりなされる。これは、ベクトル空間の線型構造を保つ変換になっている。偏微分方程式を標準形にする場合、余接束のsymplectic構造がベクトル空間の線型構造に相当する。余接束のsymplectic構造を保つ座標のとりかえを正準変換という。偏微分作用素が実際に作用するのは基底空間上の関数空間なので、正準変換を作用素の変換に翻訳することが必要になる。この翻訳作業を量子化という。複素領域において正準変換の量子化を行う理論が主にフランスの研究者たちによって確立され、その結果、狭義凸な障害物の後ろ側に回り込む光の振幅を理論的に観測することが可能になった。 以上の背景に基づいて、今年度の研究では狭義凸な障害物の後ろ側における高周波のエネルギーについて考察することを目的とした。方法としては、変換理論の再構成を、理論の対称性が明確になるような形で行った。影の部分のエネルギーをとらえる課題については、現在も継続中である。
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Research Products
(1 results)