2003 Fiscal Year Annual Research Report
赤外シュタルク分光法を用いた巨大分子の構造―機能相関の解明
Project/Area Number |
15685005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中林 孝和 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (30311195)
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Keywords | FT-IR / シュタルクスペクトル / 外部電場効果 / 赤外吸収スペクトル / タンパク質 / アミドバンド / 電荷移動錯体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,外部電場印加に伴う赤外吸収スペクトルの変化を高感度に検出する赤外シュタルク分光システムを製作し,凝縮系の巨大分子に応用することにある。本年度は,購入したフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)に電場変調システムを導入し,赤外シュタルク分光システムの製作を行った。電場変調測定は,位相変調方式と電場のオン・オフによる強度差方式の両方の方法を用いることができるようにした。位相変調方式は,波形発生器と電圧増幅器を用いて,10kHzの繰り返し周波数を持つAC変調の外部電場を試料に印加する。試料を透過した赤外光をMCT検出器を用いて検出し,ロックインアンプに入力する。外部電場に同期した電場変調成分をとりだし,FT-IRに再入力することによって,外部電場による赤外シュタルクスペクトルを得る。電場のオン・オフによる強度差方式は,波形発生器と電圧増幅器を用いて,DC電場を0.1Hzの繰り返しでオン・オフを行う。同期回路を用いて,外部電場とFT-IRの干渉計の移動との同期をとるようにしている。電場オンの赤外吸収スペクトル,オフの吸収スペクトル,その強度差を交互に繰り返し測定・積算し,積算された強度差から赤外シュタルクスペクトルを得ることができる。試料はXYθ軸ステージに固定し,入射角度を任意に変更できるようにし,外部から電場を印加できるように分光器を改良した。また赤外シュタルクスペクトルを自動測定できるように,FT-IR測定プログラムに一部変更を加えた。試料として,タンパク質と同じくペプチド基を骨格に持つポリ(γ-ベンジル-L-グルタメート)(PBLG)の配向膜を用い,ITOとアルミニウムで挟み外部電場を印加した。現在,PBLGのアミドバンドの赤外シュタルクスペクトルを測定し,性能評価を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中林孝和: "水のクラスター構造-基本的な考え方と応用の可能性-"食品膜技術懇談会誌. 29. 35-40 (2003)
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[Publications] Chie Okabe: "Picosecond Time-Resolved Stokes and Anti-Stokes Raman Studies on the Photochromic Reactions of Diarylethene Derivatives"The Journal of Physical Chemistry A. 107・28. 5384-5390 (2003)
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[Publications] Md.Wahadoszamen: "Electric field effects on photoisomerization process of diphenylpolyenes doped in a polymer film as revealed by a field-induced change in fluorescence spectrum"Chemical Physics Letters. 387・1-3. 124-129 (2004)