2004 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解型X線回折法を用いた相転移特性時間のダイナミクス
Project/Area Number |
15686002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
弘中 陽一郎 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (20293061)
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Keywords | 極短パルスX線 / フェムト秒レーザー / レーザー誘起衝撃波 / 相転移機構 / コヒーレントフォノン / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、まず、レーザー誘起X線源の安定性を確保し、さらにこの短パルスX線源を用いて、物質の相転移特性時間の計測を目指した。 X線源に関しては、テープ型X線源を開発し、安定かつ長時間(最長139時間)のX線放射に成功した。このテープ型X線源の開発に際しては、同時にモンテカルロ計算を用いたX線発生機構のシュミレーションコードを開発し、放射X線量を定量的に計算することによって、実測値との整合を行い、単位立体角当たり、10の9乗程度の放射(Cuの特性X線相当)が可能であることが示された。また、実験的には非常に困難を有するX線のパルス幅に関しても計算を行い、レーザー集光強度依存性や、レーザーエネルギー依存性などを明らかとした。X線のパルス幅は、レーザーエネルギーが200mJ程度で、パルス幅が50fsあれば、およそ数百フェムト秒程度である。しかし、レーザーエネルギーの増加に伴ってパルス幅が延びることが示された。 一方、相転移機構の発現には、レーザー誘起の衝撃波によるパルス圧印加を用いていたが、レーザー誘起衝撃波の特性が明らかになるにつれて、物質が相転移圧にさらされても、相転移が起こらないといった現象が現れた。ここで最も大きな障壁となっているのは時間である。極短時間では物質は様々なエネルギー状態を取る。固体-固体の相転移機構において、拡散型の転移は短時間では起こしにくい。無拡散型の転移であっても、エントロピーの増加を引き起こす衝撃波では比較的時間が必要であろうことが予測される。(あるいは極めて小さな範囲内にとどまる)このような観点から、物質の相転移機構にコヒーレンスの導入を行うことが有効であることを新たに提案した。
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Research Products
(4 results)