2003 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケールモデルによる無機材料科学とRC構造工学のシステムインテグレーション
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15686019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60312972)
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Keywords | 水分等温線 / 炭酸化 / 塩分平衡 / リーチング / 耐久性 / 熱力学 / 細孔構造 / 収縮・クリープ |
Research Abstract |
本年度得られた成果は以下に列挙される. 1.任意温湿度環境下における,セメント硬化体中の水分平衡に関する時間依存挙動の数理モデルの構築と実証実験を行った.Åからμmスケールの幅広い範囲に存在する水分挙動を各々実験的に抽出・分離することに成功し,水分平衡の履歴・時間依存挙動の定量化を行った.また内部水分状態と,コンクリートの力学挙動(収縮・クリープ)を直結させたモデルの高度化と実証実験を行った. 2.申請者が過去に提案した,物質移動則とイオン平衡論に基づく炭酸化反応モデルの改良を行った.具体的には,内部水分状態と多孔体内部の気体移動の相互依存性に着目し,反応モデルの高度化を行った.その結果,実環境(CO_2濃度:0.03%)から促進環境(CO_2濃度:15%程度)の範囲における炭酸化反応を,任意の配合,湿度条件において予測するシステムの構築に成功した. 3.セメント硬化体中の塩分平衡挙動を,化学的に固定される塩分と細孔壁面に吸着される成分に分離し定量化することに成功した.その結果,セッコウ添加量の多寡によって間隙相の水和プロセスが大きく異なり,フリーデル氏塩として固定化される成分が大きく変化することが明らかになった.また,普通・早強・低熱セメントといったセメントの種類によって,大きく固定化性状が異なることを示した. 4、現存の数値解析システムに,新たな解析自由度としてCa^<2+>とOH^-イオンを追加し,水和物溶出現象を予測する手法を提案した.検証実験として,空隙構造が大きく異なるセメント改良土と一般のモルタルを作製し,溶出するイオン挙動を系統的に調べた.その結果,空隙構造,温度等によって変化する溶出現象を概ね追跡する数理モデルと解析システムの構築に成功した. 以上の研究成果に関して,現在6編の論文を投稿している.そのうち,2編は原稿受理され最終出版準備中であり,4編については査読中である.
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[Publications] Koichi MAEKAWA, Tetsuya ISHIDA, Toshiharu KISHI: "Multi-scale modeling of concrete performance -Integrated material and structural mechanics-"Journal of Advanced concrete Technology. 1(2). 91-126 (2003)