2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15686022
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
北尾 聡子 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (40273552)
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Keywords | 木造建物 / 耐震性能 / 水平耐力要素 / 水平耐力 / 水平剛性 |
Research Abstract |
昨年度は実在する京都の伝統的な木造建物である京町家と奈良県・桜井市にある田の字形プランを有する木造住宅を対象に,その木造建物の水平耐力要素として柱,軸組構面,土壁構面を取り出し,それぞれの水平耐力ならびに水平剛性を足し合わせることにより建物全体の水平耐力と水平剛性を算定し,さらに地震応答解析を通じてその耐震性を検討した. 今年度は,別機関で実施された伝統軸組茅葺民家の実大水平加力実験結果から得られた水平剛性並びに水平耐力と昨年度実施した手法と同様に水平耐力要素の足し合わせによって算定した水平剛性並びに水平耐力を比較した。 水平耐力要素の足し合わせによる結果は,実大実験結果の3.8〜5.6倍となり過大な水平耐力性能評価となった.特に,土壁構面による水平耐力は全水平耐力の95%を占めており,土壁構面の水平耐力性能評価が大きく影響している事が示された.すなわち,土壁構面の水平耐力性能評価が,建物全体の水平耐力性能の過大評価の要因として考えられる.また,実大実験対象建物は18世紀後半に建てられたものであり,土壁構面の経年劣化も踏まえて土壁構面の水平耐力性能評価の必要性についても考えるところがあった. また,対象建物と同地域に存在する同程度の規模の伝統軸組茅葺民家の常時微動測定と実大水平加力試験結果をもとに,対象建物が同程度の固有周期0.23秒程度であると考えた場合,その水平剛性は実大実験結果の2.6〜2.8倍となった.これは,足し合わせ結果よりは小さいものの,やはり実大実験結果を大きく上回り,水平耐力性能を過大評価していることとなった.
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