2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15687002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 俊行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (40272471)
|
Keywords | ニワトリ / ゼブラフィッシュ / サーカディアンリズム / トランスジェニック / メラトニン / 遺伝子クローニング / 生物時計 / チューブリン |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、下記の成果を得た。 研究代表者らがこれまでに同定した時計関連分子の候補であるA78は、概日時計の位相が前進する際にニワトリ松果体においてmRNAが誘導される遺伝子である。この分子に着目し、まず全長cDNAをニワトリおよびマウスよりクローニングした。次に、A78の機能を明らかにするための第一歩として、A78に蛍光性タンパク質を融合し、培養細胞内に発現させることによりA78の細胞内局在を調べた。その結果、興味深いことにA78は中心体のマーカーであるγチューブリンと共局在することが分かった。現在のところ、概日時計機能における中心体の役割は全く不明であるが、本結果から、A78は中心体に発現して時計に関わる何らかの機能を担っている可能性が考えられた。そこで、A78の生理機能をさらに追求するため、遺伝子破壊のためのターゲティングベクターの作製を目指し、マウスのゲノムからのA78遺伝子のクローニングに着手した。 上記と並行して、個体レベルの時計発振におけるメラトニンの生理的意義を探る目的で、メラトニンリズムが消失したトランスジェニック(Tg)ゼブラフィッシュの末梢時計の発振と行動リズムを調べた。心臓や眼球における時計遺伝子の発現をRT-PCR法により定量して結果、本Tg系統においても末梢組織において概日時計は発振しているが、その発振のリズムが野生型とは異なっていることが判った。次に、恒暗下における遊泳行動リズムを測定したところ、メラトニンリズムの消失しても行動のリズムを示すTg個体が存在することが判明した。以上の結果より、メラトニンは個体におけるサーカディアンリズムの形成に不可欠ではないが、臓器間の同調等において重要な働きをしている可能性が示唆された。
|