2003 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性木質系材料製造のための微細構造制御技術の確立
Project/Area Number |
15688005
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
古田 裕三 京都府立大学, 農学研究科, 講師 (60343406)
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Keywords | 木質系材料 / 微細構造制御 / 熱履歴 / 水分履歴 / 乾燥履歴 / 軟化 |
Research Abstract |
木質系材料の諸特性の変化を、温度や水分による軟化及び乾燥や熱等の履歴の変化をも加味して総合的に検討した。本年度に得られた成果は以下の通りであった。 (1)水分定常状態にある木材のクリープ変形は、水分変化直後の同じ含水率にあるそれより著しく大きかった。このことから、木材の流動性には微細構造変化が大きく影響していることが推察された。 (2)木材や竹材の流動性には、水分や熱の影響のみならず、過去の乾燥や熱の履歴の影響が大きく影響することが明らかとなった。このことから、過去の履歴を制御することによって、木質系素材の可塑性を増大できる可能性が見いだされた。 (3)木材の横方向の破壊を、20℃飽水状態で調査したところ、過去の乾燥や熱の履歴、また、履歴後の水中浸漬時間によって、破壊強度や応力-歪み曲線は大きく異なった。このことから、履歴によって、あるいは履歴後の経過時間とともに微細構造は変化し、その影響は弾性率や熱的性質のみならず、材料の強度をも左右することが明らかとなった。従って、木質系材料の安全性を検討する際には、過去の履歴を詳細に調査したり、使用する環境の変動を詳細に把握しておく必要があることが推察された。 (4)履歴によって微細構造が大きく変化することはこれまでの結果から明らかであるが、その影響は木質系材料の体積には、大きくは表れず、通常の高分子材料とは異なる結果が得られた。その機構については現在も検討中であるが、木材の細胞構造や木材細胞壁の多層構造に由来することが推察された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高橋智佳, 石丸優, 飯田生穂, 古田裕三: "The viscoelastic properties of wood in unstable states caused by changes in moisture content"Second International Conference of the European Society for Wood Mechanics Proceedings. 73-78 (2003)
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[Publications] 赤枝幸一, 石丸優, 飯田生穂, 古田裕三, 金山公三, 竹内和敏: "高温ロールプレス法による圧密単板製造技術"第52期日本材料学会学術講演会論文集. 275-276 (2003)
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[Publications] 川添正伸, 竹内和敏, 古田裕三, 金山公三: "飽水状態における木材の機械的強度特性に及ぼす温度の影響"第52期日本材料学会学術講演会論文集. 281-282 (2003)
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[Publications] 古田裕三, 飯田生穂, 石丸優, 小畑良洋, 金山公三: "不安定状態にある木材の物性-乾燥及び熱履歴の影響-"第52期日本材料学会学術講演会論文集. 285-286 (2003)
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[Publications] 亀井克之, 石丸優, 飯田生穂, 古田裕三: "木材の力学的性質に及ぼす試料調整方法の影響(第1報)-飽水木材の水中浸漬時間,温度,加熱後の冷却速度の影響-"木材学会誌. 50巻1号. 10-17 (2004)
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[Publications] 神代圭輔, 古田裕三, 飯田生穂, 石丸優: "不安定状態にある木材の物性-熱履歴に基づく微細構造変化に関して-"2003年度日本木材学会中部支部大会講演要旨集. 10-11 (2003)