2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞の増殖、分化、老化におけるホルモン応答性に関わる細胞周期制御因子の同定
Project/Area Number |
15689014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 友彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20334386)
|
Keywords | 骨粗鬆症 / 骨形成 / 骨芽細胞 / 遺伝子多型 / 遺伝子マーカー / LRP5 / Wntシグナル / 老化 |
Research Abstract |
骨粗鬆症に対する治療において、骨芽細胞による骨形成を亢進させて骨量増加作用を起こすことが理想ではあるが、現在まで強力な骨形成促進役は存在していない。骨形成促進薬開発のためには、内分泌ホルモンをはじめとした液性因子による骨芽細胞の増殖と分化の制御機構を解明し、骨形成シグナルにおける中心的な役割を果たす骨芽細胞内でのシグナル伝達因子を同定することが重要と考え、以下の検討を行った。 近年、脊椎動物のシグナル伝達においてWntシグナル伝達経路が注目され、特に骨形成においてはWntに対する受容体として機能するLRP5が注目されている。本研究では、LRP5遺伝子上における29種類の遺伝子多型を解析し、LRP5遺伝子のアミノ酸変異を伴う遺伝子多型(A1330V)が閉経後女性の骨密度に影響を与えることを発見した(Bone, in press)。申請者は同時にLRP5遺伝子上の別のアミノ酸変異を伴う遺伝子多型(Q89R)が変形性腰椎症と関連することを見出しており、Wntシグナルが骨や軟骨の老化に関与する可能性が示唆された(Spine, in press)。 一方、核内受容体の一つであるSXRは骨粗鬆症治療薬であるビタミンKに対する受容体として働き、骨芽細胞機能を調整することが近年明らかにされた。しかしながら正常ヒト骨組織でのSXRの発現や骨疾患との関連は未だ明らかにされていない。本研究において、ヒトSXR遺伝子が初代培養ヒト骨芽細胞ならびに軟骨細胞において発現すること、ならびにヒトSXR遺伝子における遺伝子多型が閉経後女性の骨密度に影響を及ぼすことを発見した(Geriatri Gerontol Int, in press)。
|