Research Abstract |
(1)歯根膜線維芽細胞と歯肉線維芽細胞との遺伝子発現についての比較検討 歯根膜細胞と形態は類似しているが機能は異なるとされている歯肉の線維芽細胞を同様の操作によって不死化した細胞株と今回の実験で得られる歯根膜細胞株とを用いて、両細胞によって発現されるタンパク質あるいはmRNAの違いについて、DNAマイクロアレイ法にて比較検討した。その結果、歯根膜線維芽細胞にtype IV collagenが多く合成されていることが明らかになった。type IV collagenは基底膜に存在するタンパクであり、また歯根膜組織にはMallasezの上皮遺残とよばれる上皮細胞が存在していることから、線維芽細胞によるその合成が何らかの役割を果たしていると考えられる。今後このtype IV collagenの発現意義について解明していくことを計画している。 (2)不死化歯根膜線維芽細胞株のクローニングとキャラクタリゼーション SV40T抗原及びhTERTの遺伝子導入によって得られた不死化歯根膜線維芽細胞株のクローニングを行い、得られたクローンの遺伝子発現について以下のタンパクに着目して半定量RT-PCR法を用いてキャラクタリゼーションを行った:Runx2, Osterix(OSX), ALPase, Osteopontin(OPN), Osteocalcin(OCN), Bone sialoprotein(BSP), type I collagen, type IV collagen, RANKL, Osteoprotegerin(OPG),Keratinocyte growth factor(KGF), Hepatocyte growth factor(HGF),Periostin, PLAP1。その結果、Runx2, OSX, OCN, type I collagen, type IV collagen, OPG, Periostinにはクローン間で差が認められなかったが、ALPase, OPN, BSP, RANKL, KGF, HGF, PLAP1ではクローン間で発現が異なっていた。今後さらに、得られたクローンについて、in vivoでの動態について解析を行っていくことを計画している。 (今回の研究は九州大学歯学研究院の生命倫理委員会にて認可されている)
|