Research Abstract |
ITS(高度道路交通システム)の研究分野において,画像処理を用いた交通流計測が盛んに行われている.カメラは,景観が壊されないように,また,ドライバーの目に触れにくいように路側に設置される場合がある.この場合,車両同士の隠蔽が大きな問題となり,単一視点から観測した映像に対する画像処理手法では限界が生じる.一方で,都市工学の分野では,歩行者天国や駅前の雑踏などにおける歩行者の計測や流れの解析が行われており,やはり隠蔽という問題を内包している. そこで,これらのテーマを結びつけ,複数視点映像からの移動物体(車両・歩行者)を観測することによって,交通流計測であれば渋滞時,歩行者追跡であれば混雑時でも移動物体を計測・追跡が可能となるシステムを構築し検証する. 平成15年度では,屋外を対象とした移動物体を検出するための手法として,動的背景差分手法を検討した.一般的に背景差分とは,あらかじめ,静止状態の事物からなる状態を撮影しておき,背景画像として獲得し,入力される連続画像との輝度値の差分をとることによって,連続画像中に現れたい動物物体を抽出する方法であるが,ここでの動的背景差分とは,この背景画像も画像全体の輝度値の変化に応じて変化させることによって,屋外環境下という日照などの変化にロバストな移動物体検出法である. 次に,最近,より小型で携帯性に優れたVCRおよびノートPCと連携しやすいIEEE1394カメラなどがあることなどから,システムの実験・検証を行うために,撮影するためのカメラおよび記録のためのVCRを視点ごとに用意した.15年度は2視点で検証し,3視点以上にシステムが拡張できるように実装の検討を行った.現在,各カメラ映像の処理結果を転送し,統合処理するためのネットワークには有線LANを用い,屋内環境下での予備実験を行うためのシステムを構築中である.
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