2003 Fiscal Year Annual Research Report
報酬最大化原理および大脳基底核モデルによるゴール指向性推論機能の自動的実装
Project/Area Number |
15700180
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 秀昭 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (20345375)
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Keywords | ゴール指向性推論 / 高次脳機能 / 報酬最大化 / 大脳基底核 / 部分観測マルコフ決定過程 |
Research Abstract |
本研究は、ゴール指向性推論を始めとした、人間の脳の持つ様々な高次脳機能を包括的に実現するエージェントを設計することを目標としている。そのために、ゴール指向性推論に始めから特化してエージェントを設計するのではなく、「エージェントとその環境についてのある制約条件のもとで報酬最大化という最適化問題を解く」という形でエージェントを設計し、その結果として「ゴール指向性推論がエージェントに実装された」という現象を自動的に発生させようと考え、以下の研究を行った。第一に、本研究では報酬最大化のための最適化手法が必要である。そのため本年度はまずこの最適化手法について先行研究を調査・検討した。その結果、部分観測マルコフ決定過程などの確率的問題設定がその記述力の高さから有効であると判断し、最近の最適化手法を計算機に実装した。また、新たな手法の考案も行った。これについては論文発表を準備中である。第二に、本研究では人間の脳において報酬最大化の機能を担うと考えられている大脳基底核を考慮し、そのモデルをもとにエージェントを設計しようと考えている。そのため本年度は大脳基底核の機能とそのモデルの研究も行った。その結果、大脳基底核では文脈に依存した確率的な報酬の予測が可能であることを示した。またその計算論的モデルも提案した。この結果はNeuron誌にて論文発表した。第三に、これらの結果をふまえ、ある環境下で「ゴール指向性推論がエージェントに実装された」という現象を自動的に発生させることを試みた。その結果、実際にそのような現象が発生しうることが分かった。ただしまだそれが発生する条件について十分検討できていない。またゴール指向性推論ではなく他の推論形態が実装されることもあった。そのためどのような場合にどのような機能が実装されるのかについても検討が必要である。次年度はこれらの点を明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)