2003 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化による動物行動の動力学的特性とその適応的意義に関する研究
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15700188
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
右田 正夫 滋賀大学, 教育学部, 講師 (70335157)
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Keywords | 自己組織化 / 実験生物学 / 画像解析 / 神経回路 |
Research Abstract |
イトマキヒトデ(Asterina pectinifera)の移動時における管足集団の自己組織化を解析するために以下の作業を行った. ・飼育条件下にあるイトマキヒトデ個体を,底部が透明なアクリル水槽中で自由に移動させ,管足集団の運動および個体の移動方向の変化をビデオ撮影した. ・ビデオ画像は画像処理ボードを搭載したPCに入力され,画像処理によって管足集団と個体の運動をデータ化した. ・まず,個体全体の運動に見られる特徴として,明瞭な外的な刺激が与えられない場合にも移動方向の変化が見られることがわかった.そして,この変化が各腕における管足集団の運動量,及び,運動方向の時間変化によってもたらされることがわかった. ・管足集団の運動は,各管足が隣接する管足の運動と相関の強い運動を行うことで各腕毎に管足の運動量,及び,運動方向の独自性が生じ,こうした腕間の運動の差異が,個体全体の運動の統括に関与する神経環を通じて他の腕へと伝播するものであることがわかった. ・運動の自己組織化に関して,組織される運動の傾向を決定するのが局所的な管足の運動状態であるという点において,制御パラメータによって全体の挙動が説明される従来の自己組織化理論によってイトマキヒトデの運動を説明するのは困難であることがわかった. 外的刺激の存在下での管足運動の観察に関しては,(1)誘引物質または忌避物質のいずれかを水槽に注入した場合,および,(2)誘引物質と忌避物質を同時に水槽に注入した場合,の管足集団の運動について現在データ採取を行っている.
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