2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15700211
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田畑 暁生 神戸大学, 発達科学部, 講師 (20283848)
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Keywords | 地域情報化政策 / 情報化 / マルチメディア / 情報社会 / テレワーク / 地域振興 / 政策評価 |
Research Abstract |
本年度は、地域情報化政策の現状を知るために、西日本を中心に、なるべく多くの自治体の担当部局に取材を行った。ただし、やみくもに回るのではなく、特に「リーディング・プロジェクト」「ハイビジョンシティ構想」「ハイビジョン・コミュニティ構想」「マルチメディア街中にぎわい構想」「テレワークセンター構想」のモデル地域指定を受けた自治体については、なるべく網羅的に取材を行った。以下、いくつか箇条書きで実績を述べる。 まず、「電子自治体構想」が、地域情報化にやはり大きな影響をおよぼしていることが分かった。特に後発の自治体においては、総務省からの要求に追われて、自治体独自の政策を立案する余裕が失われている事実が浮かびあがってきた。 また、現在各地で行われている「平成の大合併」も、短期的には地域情報化政策の足を引っ張っていることが、富山市その他の取材で分かってきた。合併によるシステム統合を行う部署と、地域情報化政策を担う部署は、多くの場合共通であり、システム統合に追われてしまうと、政策の立案・遂行にマンパワーが割けない。情報システム課と別に情報政策課を持っている静岡市のようなところは例外に位置する。 冒頭で述べた各地域情報化構想について具体例を挙げる。ハイビジョン関連施策については、詳しくは報告書で各自治体に即して述べるが、積極的に利用されているところは少なく、死蔵されていたり、こっそりと廃棄されている場合が多かった。リーディング・プロジェクトとマルチメディア街中にぎわいについては、それなりの成果を挙げている自治体が目立ったが、その場合も、国からの方針をうまく換骨奪胎している場合があった。テレワークセンター事業については、ほとんどが苦しい運営を迫られていて、とりわけリゾート型のテレワークを目指した山形県の3つの町の事例は目立っていた。阿蘇の場合は、運営そのものは成功しているが、テレワークというよりは通常のオフィスと異なっていない。三野町や須坂市は、IT練習用の施設として生き残りを図っていた。
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