2004 Fiscal Year Annual Research Report
両耳間差を聴覚の定位手がかりとした腹話術効果の研究
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15700219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅原 拓朗 東京大学, インテリジェント・モデリング・ラボラトリー, 講師 (00345026)
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Keywords | 腹話術効果 / 両耳間差 / 知覚情報処理メカニズム |
Research Abstract |
平成15年度では両耳間時間差(interaural time difference : ITD)を定位手がかりとしたときの腹話術効果(ある場所に提示された音源の位置が、異なる場所に提示された視覚刺激の位置に捕捉されて知覚される現象)について検討したが、平成16年度では定位手がかりが両耳間レベル差(interaural level difference : ILD)の場合について、および、腹話術効果をもとにITDとILDという明示的に空間的でない手がかりの量と実空間を結びつけることを検討した。まず、ILDを手がかりとした腹話術効果であるが、CRTモニタ上の水平方向の様々な位置に点光を提示して、点光の位置がILDを手がかりとした音像定位に与える影響を検討したところ、ITDと同様、モニタ上の点光の位置が頭内の音像を補足し、音像の位置は点光の方向に知覚された。ILDを定位手がかりとした場合も腹話術効果が生起することが確認された。ITDもILDも両耳間の差という情報処理上の属性であって明示的に空間の標識となっているわけではない。一方、腹話術効果を引き起こす視覚刺激は明示的に空間に位置づけられている。よって、視覚刺激の提示位置が腹話術効果に及ぼす効果を検討することでITDおよびILDの量を実空間にマッピングすることができるはずである。実際に、CRTの様々な位置に点光を提示したところ、腹話術効果がほとんど起きない場所があることが観察された。この場所はあるITDなりILDが点光と同じ場所にある(ゆえに効果が起こらない)と脳内で解釈された結果と考えられ、これをもとにILDおよびILDという脳内表象の量を実空間にマッピング出来ることがわかった。
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