2003 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴機能画像法(fMRI)を用いた自己知識の多次元性・多面性に関する研究
Project/Area Number |
15700223
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Research Institution | Tokai Women's University |
Principal Investigator |
堀内 孝 東海女子大学, 人間関係学部, 講師 (00333162)
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Keywords | 自己知識 / 自己記述課題 / 自伝想記課題 / 他者知識 / 核磁気共鳴機能画像法(fMRI) / 事象関連電位(ERP) / 前頭前野内側部(MPFC) |
Research Abstract |
本研究の目的は,自己知識の多次元性・多面性について脳機能の観点から検討を行うことである.並存的妥当性を高めるため,平成15年度は,核磁気共鳴機能画像法(fMRI)を使用して測定する前段階の研究として,時間分解能にすぐれる事象関連電位(ERP)を使用した実験を二つ行った. 実験1:自己知識は大別すると,意味記憶システムにおける自己知識(自己概念)とエピソード記憶システムにおける自己知識(自伝的記憶)に分けることができる.実験1では,自己概念をアクセスする課題(自己記述課題)と自伝的記憶をアクセスする課題(自伝想起課題)における脳波の相違について比較検討した.その結果,自己記述課題のほうが全体的に振幅は大きいものの,いずれの測定部位においても統計的な差は認められなかった. 実験2:前頭前野内側部(MPFC)は自己知識の表象操作に関する処理一般に関与していると考えられているが,自己と密接な関係のある他者に関する判断ではMPFCが関与するか否かは検討されていない.そこで実験2では,親密度の高い他者として母親条件を設定し,自己記述条件や親密度の低い田村亮子条件との脳波の違いを検討した.その結果,MPFCに比較的近いFzにおいて,500-700msの後期成分が自己>母親>田村亮子であることが明らかとなった.この結果は,MPFCは自己に独自の活動部位というよりも,その活動の水準は知識の豊富さや自我関与の程度に規定される可能性を示唆している. 今年度は,以上の研究成果や本研究の概要を日本心理学会のワークショップやThe 5th Tsukuba International Conferenceで発表した.さらに,実験2の成果はH16年の日本心理学会において発表する予定(受理)であり,現在,研究雑誌に投稿する準備を進めている.ワークショップでの発表内容は「認知科学」に投稿し,現在,審査中である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 堀内 孝: "ワークショップ「自己,他者,内側前頭前野」"日本心理学会第67回大会発表論文集. 67. S65 (2003)
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[Publications] 堀内 孝: "ワークショップ「自伝的記憶の理論と方法-研究の現場から」"日本心理学会第67回大会発表論文集. 67. S36 (2003)
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[Publications] Horiuchi, T.: "Event related potential for personality relevant information"The 5th Tsukuba International Conference. 5. 25 (2004)
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[Publications] 堀内 孝: "自己認知と他者認知の相違-ERPを使用した検討-(発表予定,原稿受理済み)"日本心理学会第68回大会発表論文集. 68. (2004)