2003 Fiscal Year Annual Research Report
ベルンシュタイン多項式に基づく統計的推測理論とその時系列への応用
Project/Area Number |
15700228
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿沢 佳秀 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (30281778)
|
Keywords | 定常過程 / スペクトル密度 / ペルンシュタイン多項式近似 / カーネル密度推定 |
Research Abstract |
本研究は時系列への応用を目指しているが、ベルンシュタイン多項式に基づく関数推定問題は独立同一分布を想定した母集団分布(密度)関数や回帰モデルにおける回帰関数など、いわゆる「関数のノンパラメトリックな統計的推測」の中に位置づけられ、時系列の簡単な例である定常過程のスペクトル密度推定問題への接近法として研究を始めた。Vitale(1975)の定式化に基づく先行研究が独立同一分布の確率密度と回帰関数推定で既にあったが、それらを見直してベルンシュタイン多項式を重みとするような推定量の属(古典的に議論されてきたカーネル型推定量の線形結合)を考察し、レフリー付き雑誌JNSに受理された。そこでの題材は確率密度推定であったため、スペクトル版への拡張かつ時系列でベンチマークとされるデータに対する分析も行い、ベルンシュタインスペクトル推定量では原点付近にピークが現れる傾向が見えた。確率密度・回帰関数・スペクトルなどの平滑化に基づく種々の推定法は国内外で精力的に研究され進展が見られるのでそれらとの比較も念頭にした。最先端の結果でも同じデータについてスペクトル推定値の原点付近のピークが検出されており、本研究の途中経過に一致したことは興味深い。一方、推定量の漸近的挙動から標準化オーダーが異なることに依存した平滑化パラメーター選択の問題点も指摘でき、次年度以降の研究のポイントとなる。また漸近理論導出の際に定常時系列で鍵を握るテープリッツ行列の積のトレースの近似の誤差評価も修正し、スペクトル解析で重要なピリオドグラム積分量あるいは2次形式量の大偏差評価定理も整備した。さらに長期記憶過程の統計的推測理論でも2次形式量の性質が重要であるが、長期記憶過程という状況はある種のイレギュラーのため非正則な漸近理論になることが多いから、非正則をキーワードとする先行研究を文献調査し、Dahlhaus(1989)を回帰モデル版へ拡張もした。
|