2003 Fiscal Year Annual Research Report
Rasシグナルによる神経興奮性制御機構と神経可塑性における役割の解明
Project/Area Number |
15700253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 文子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00334277)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / シグナル伝達 / 脳神経疾患 / 痴呆 |
Research Abstract |
記憶・学習に深く関与する海馬において、シナプス伝達効率の長期増強(LTP)誘導には、グルタミン酸受容体のひとつであるNMDA受容体(NMDAR)が重要な役割を果たすことが知られている。しかしながら、生体内ではどのような分子機序により、NMDARの機能が調節されるのかについては不明な点が多い。近年海馬においてRasがNMDAR機能修飾を介してLTPを制御している可能性が示唆されているが、その詳細な分子機序は未だ不明である。他の系ではRasの下流因子として、mitogen-activated protein kinase(MAPK)やphosphatidylinositol-3-kinase(PI3K)などか知られているが、最近の報告ではMAPKやPI3KがLTPや記憶・学習に重要な役割を担うことが示唆されている。そこで、神経細胞においてもRasの下流因子としてMAPKとPI3KがLTPの誘導に関与している可能性を検討した。NMDA処理や高頻度刺激を与えた海馬切片においてはERKのリン酸化が有意に亢進したが、これはPI3K阻害剤であるLY294002やWortmanninによって抑えられた。これらめ結果は従来示唆されていたように、NMDAR刺激によるMAPKの活性化はPI3K依存的であることを支持する。しかしながらMAPKの上流因子であるMEKの阻害剤U0126やSL237で前処理した海馬切片では神経細胞の興奮性に依存する5Hz刺激によるLTPは減弱したが、興奮性制御に依存しない100Hz刺激では全く変化が見られなかった。他方PI3K阻害剤で前処理した海馬切片では、100Hz刺激、5Hz刺激によるLTPはともに減弱していた。これらの結果からLTP誘導におけるPI3Kの役割はMAPKの上流因子として以外にも、MAPK非依存的な調節機構にも関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakazawa T, Watabe AM. et al.: "P250GAP, A Novel Rho GTPase-Activating protein, interacts with NMDA receptor."Mol.Biol.Cell. 14(7). 2921-2934 (2003)
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[Publications] Opazo P., Watabe AM.et al.: "Phosphatidylinositol 3-Kinase Regulates the Induction of Long-Term Potentiation Through Extracellular Signal Related Kinase-Independent Mechanisms"J.Neurosci.. 23. 3679-3688 (2003)
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[Publications] Watabe AM, O'Dell TJ.: "Age-related changes in theta frequency stimulation-induced long-term potentiation."Neurobiol.of Aging. 24(2). 267-272 (2003)