2004 Fiscal Year Annual Research Report
四肢の運動知覚における一次運動野および右半球の役割
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15700256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 栄一 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (10283293)
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Keywords | 機能的核磁気共鳴装置 / 運動関連領域 / 振動刺激 / 筋紡錘 / 運動錯覚 / ホムンクルス / 小脳 |
Research Abstract |
研究代表者は、手首の腱への振動刺激によって惹起される手首の運動錯覚経験中に脳の運動関連領域が関与することを明らかにしてきた(Naito 2004 a, b ; Naito et al.1999, 2002 a, b ; Naito & Ehrsson 2001)。この錯覚は振動刺激が筋紡錘からの求心性Ia線維を活動させるために起こることが知られており、四肢が全く動かないにも関わらず被験者は明瞭な四肢の動きを経験する。古典的な研究(Penfield & Rasmussen, 1950)より、この運動関連領域には体部位再現があることが知られており、ある部位はそれに対応する四肢の動き制御に関係することが知られている。先行研究(Naito et al, (2005) J Neurophysiol)では、右手または左手の運動錯覚中に、反対側運動野、運動前野、同側小脳などの手領域が賦活すると同時に、手の左右にかかわらず両側の補足運動野と右半球の6野前部、2野、44野、縁上回(ip1野)及び頭頂弁蓋部(op1野)が賦活することを明らかにした。さらに右半球の6野、44野、縁上回及び頭頂弁蓋部は左半球の対応する部位に比べて有意に脳活動が高いことを示した。 これを受けて、まず初めに、右手、左手、右足、左足で、被験者が運動錯覚を経験している最中に、筋紡錘からの求心性感覚情報処理に運動関連領域の体部位再現部がそれぞれ関与するかを機能的核磁気共鳴装置で調べた。この結果、それぞれの四肢の運動錯覚には反対側運動野、運動前野、補足運動野尾側部、帯状回運動皮質尾側部、同側小脳の体部位再現部位が関与することが明らかとなった。これらの事実は運動関連領野の体部位再現部位(ホムンクルス)が運動を実行することなく、対応する四肢からの動きに関するフィードバック情報処理にも関与することを意味している。従来まで、運動実行に関与すると考えられてきた(Penfieldら1950)、運動領域のホムンクルスに運動感覚情報処理機能があることを示した。加えて、四肢特有の情報は補足運動野および帯状回運動皮質吻側部において、両手からの情報、同側四肢(右手右足)からの情報が統合され、さらに前方部において最終的に全ての四肢からの情報が収束している事実を発見した。同時にNaito et al.(2005)で報告された右半球領域は右手、左手、右足、左足の錯覚中にも共通に賦活することも確かめられ、これらの領域が四肢特有の情報処理というよりは、さらに高次の機能を担うことが示された。この結果に関しては、既に複数の学会およびシンポジウムで発表されており、現在のところ論文投稿の準備をしている。
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Research Products
(14 results)