2003 Fiscal Year Annual Research Report
いかにして大脳皮質神経細胞の最終配置部位が決定されるのか?
Project/Area Number |
15700277
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
味岡 逸樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10348790)
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Keywords | 大脳皮質 / 神経細胞 / 細胞接着 / 細胞移動 / DNAチップ / 脳室帯 / 運命決定 / 細胞外シグナル |
Research Abstract |
申請者はマウス脳室帯及び中間帯の分散-再凝集培養実験により、大脳皮質神経細胞が、移動終了以前に誕生時期依存的な選択的凝集機構を持つことを明らかにした。大脳皮質の各層を構成する細胞はほぼ共通の時期に誕生した細胞であり、この結果は、大脳皮質層特異的な細胞の分離機構を示唆する。McConnellらによるフェレットを用いた移植実験と我々の実験結果より、この神経細胞の運命決定には、細胞が誕生時に脳室帯で受け取る短距離作動性の液性因子あるいは接着因子の関与が考えられる。そこで,この神経細胞の運命決定を担う因子を網羅的に探索するために、1次スクリーニングとしてDNA chipを用い、脳室帯で特異的に発現している遺伝子群をスクリーニングした。具体的にはマウス胎生12日目の皮質全体、胎生14日目の脳室帯側と皮質板側、胎生16日目の脳室帯、中間帯、皮質板をそれぞれ顕微鏡下で切り出しし、5μgのRNAを回収した後、アフィメトリクス社のGenechipを用いてそれぞれの領域における36000クローンの発現量を検討した。脳室帯で特異的に発現している因子は、脳室帯での発現量が皮質板での発現量より2倍以上のクローンを選別した。2次スクリーニングでは、分泌因子あるいは膜貫通領域を持った因子を選別するために、そのアミノ酸配列から物理化学的なアルゴリズムを用いた。その結果、胎生14日目の脳室帯あるいは胎生16日目の脳室帯で特異的に発現している因子は36000クローン中2329クローンであった。さらに、分泌因子あるいは膜貫通領域を持った因子として426クローンが選別された。この中から予備的な実験として、120クローンの発現部位をin situ hybridizationで検討した結果、20クローンにおいて脳室帯特異的な発現が認められた。
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