2004 Fiscal Year Annual Research Report
シンタキシン1Aノックアウトマウスを用いた行動学的解析
Project/Area Number |
15700292
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
藤原 智徳 杏林大学, 医学部, 講師 (90255399)
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Keywords | シンタキシン / 開口放出 / ノックアウトマウス / 条件付け恐怖記憶 |
Research Abstract |
昨年度の研究に引き続き、作成したシンタキシン1A-ノックアウトマウスの表現型の解析を行った。当初の計画に従い、本年度は行動学的解析を中心に行った。はじめに、オープンフィールドにおける自発運動について検討しところ、その行動に有意な異常は認められなかった。ただし、ノックアウトマウスで若干多動の傾向があり、それについての詳細な解析は来年度も行う予定である。 次に、恐怖条件付け記憶について検討を行った。その結果、強い学習を行った場合には、その記憶の獲得・固定・保持ともに有意な差は認められなかった。しかし、学習の条件をより弱くした場合(電気刺激の強度を下げた時)、学習から24時間後の条件刺激に対する恐怖応答反応が、コントロールと比べノックアウトマウスで低下する傾向が認められ、その記憶の固定化の程度が悪いことが明らかにされた。またさらに、強い学習により各マウスが同程度の恐怖応答反応を示すように記憶させた後、その記憶を消去するトレーニングを行わせた。その結果、ノックアウトマウスはコントロールと比べ、いったん獲得した記憶の消去がおきにくいことが明らかになった。同様の結果は、サッカリン溶液の味覚嫌悪条件付けを行った場合にも確認された。これらの記憶は一般に、扁桃体に依存的な記憶であるとされている。そのため、シンタキシン1A-ノックアウトマウスでは扁桃体機能に異常が生じていると推測された。 来年度の研究計画として、このマウスではその他の中枢神経機能にも異常があるのかを現在検討する予定である。この目的のため、水迷路を用いた空間学習、object recognition testを行う。また同時に、正常動物でこれらの学習を行わせた場合、シンタキシン1Aの発現量、局在部位に変化が見られるか検討する。 以上の結果から、シンタキシン1A-ノックアウトマウスで見られる行動異常の分子メカニズムを解析するとともに、生体内におけるシンタキシン1Aの機能について検討している。
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