2003 Fiscal Year Annual Research Report
代謝型グルタミン酸受容体を介する脳虚血後のNMDA受容体チロシンリン酸化の研究
Project/Area Number |
15700293
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
高木 教夫 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (50318193)
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Keywords | NMDA受容体 / チロシンリン酸化 / 脳虚血 / 情報伝達 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
本研究は遅発性神経細胞死を呈する海馬CA1領域と虚血耐性を示すCA3/dentate gyrus(DG)領域でのNMDA受容体サブユニットNR2AならびにNR2Bのチロシンリン酸化に対するGqタンパク質共役型代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1およびmGluR5)拮抗薬の効果と神経細胞死との関連を検討するために企画された. 本年度はラット一過性(15分)全脳虚血モデルを用い,初めに海馬CA1領域神経細胞死に及ぼすmGluR5アンタゴニスト2-methyl-6-(phenylethynyl)-pyridine(MPEP)の効果を検討した.虚血30分前に脳室内に3,10,30あるいは300nmolのMPEPを投与し,一過性脳虚血再灌流後72時間目の海馬CA1領域の生存細胞数を測定した結果,Vehicle投与群で観察されたCA1領域神経細胞死はMPEP投与により濃度依存的に抑制され,30および300nmolのMPEP投与で有意に抑制された.次に,再灌流後1時間目のタンパク質チロシンリン酸化に及ぼすMPEPの効果を検討した結果,30nmolのMPEP投与は全チロシンリン酸化タンパク質量に影響を与えなかった.さらに,NR2Aのチロシンリン酸化に及ぼすMPEPの効果を検討した結果,再灌流後1時間目に増大したNR2Aのチロシンリン酸化はMPEP投与によって減少した. 以上本年度の研究結果より,一過性全脳虚血後にmGluR5を介したNMDA受容体NR2Aサブユニットのチロシンリン酸化経路の存在を示唆する知見を得た.
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