2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗体遺伝子を用いた神経回路形成過程のリアルタイム解析
Project/Area Number |
15700297
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樺山 博之 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 研究員 (10332339)
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Keywords | 抗体遺伝子 / 成長円錐 / シナプトタグミン |
Research Abstract |
シナプトタグミン1/2はシナプス小胞に局在し、シナプス小胞と細胞膜との融合過程を制御する分子である事が既に明らかにされている。申請者らは機能阻害抗体タンパクを用いてシナプトタグミンが神経伝達以外に神経突起伸長を制御する分子である事を明らかにした。シナプトタグミンは成長円錐形質膜の供給源として考えられている成長円錐小胞に局在することから、シナプトタグミンは成長円錐小胞と形質膜の融合過程を制御するものと推測された。神経突起伸長は神経伝達に比ベタイムスケールの長い現象であり、その基盤である成長円錐小胞の膜融合過程も長時間の観察が求められる。そのため膜融合過程の阻害ツールとしては抗体タンパクより長時間の抑制が可能な抗体遺伝子に利点がある。今までに、シナプトタグミンに対する抗体遺伝子を単離し、ニワトリ胚DRGニューロンに導入したところ、著しく突起伸長を阻害する事を明らかにしてきた。この抑制効果は抗体遺伝子の発現により、成長円錐小胞の細胞膜への融合や再取込みが阻害されたことによると仮定している。この仮説を検証する為、今年度は成長円錐小胞のラベリングをFM-dyeやWGAを用いて条件検討した。その結果、FM4-64色素がエンドサイトーシスにより成長円錐に取り込まれ、成長円錐小胞が可視化出来ることが明かとなった。さらにこのFM4-64で可視化されたエンドサィトーシスの性質を調べたところ、興味深いことに細胞外カルシウムには非依存的だが、細胞内カルシウムに依存することが分かった。これは従来から研究されている成熟神経細胞の神経終末におけるシナプス小胞などの性質とは明らかに異なるものである。今後この成長円錐小胞のエンドサイトーシスがシナプトタグミン抗体遺伝子によって阻害されるかを調べる予定である。
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