2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗体遺伝子を用いた神経回路形成過程のリアルタイム解析
Project/Area Number |
15700297
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樺山 博之 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 研究員 (10332339)
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Keywords | 抗体遺伝子 / 成長円錐 / 神経突起伸長 |
Research Abstract |
シナプトタグミンはもともとカルシウム依存的な神経伝達物質の放出過程に関与している事が報告されている。申請者はこのシナプトタグミンの機能阻害抗体の遺伝子をニワトリ背根神経節神経細胞に発現させると神経突起伸長が抑制される事を明らかにした。これは成長円錐小胞に局在しているシナプトタグミンがその膜融合過程を制御している可能性を示唆している。そこで本年度はシナプトタグミンに対するGFP融合抗体遺伝子と成長円錐小胞の膜融合過程を可視化できる蛍光色素を組み合わせることにより、シナプトタグミンがどのように成長円錐小胞の膜融合に関わるかをリアルタイムで観察することを試みた。まず最初にGFP融合抗体遺伝子をマウスDRG神経細胞に発現させ、タイムラプスイメージングを行ったところ、シナプトタグミンに対する抗体遺伝子を発現した成長円錐の脱分極刺激依存的なフィロポディアの形成誘導が抑制されることを発見した。一方、この抑制効果は変異型抗体遺伝子を発現した場合では観察されなかった。このことはシナプトタグミンが成長円錐小胞の融合を介して脱分極刺激依存的なフィロポディアの形成を誘導していることを示唆する。これを検証する為、現在成長円錐小胞の動態を可視化した成長円錐で抗体遺伝子の効果を検討中である。また、フィロポディアは成長円錐の旋回運動に重要な働きをしていることが知られているので、抗体遺伝子の発現による旋回運動に対する効果を観察できる系を現在構築中である。
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