2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗体遺伝子を用いた神経回路形成過程のリアルタイム解析
Project/Area Number |
15700297
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樺山 博之 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 研究員 (10332339)
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Keywords | 抗体遺伝子 / エンドサイトーシス / 神経突起伸長 |
Research Abstract |
平成17年度はシナプトタグミンに対する抗体遺伝子をマウス背根神経節ニューロンの成長円錐に発現させ、胎生期の成長円錐小胞に局在するシナプトタグミンの詳細な機能解析を行った。その結果、抗体遺伝子を発現した成長円錐では脱分極刺激依存的なフィロポディアの増大が著しく抑制される事が分かった。しかし、変異型抗体遺伝子を発現する成長円錐ではこの抑制効果は観察されなかった。これは成長円錐に局在するシナプトタグミンが脱分極刺激依存的なフィロポディアの増大を制御していることを示している。現在本研究結果を誌上発表する準備を進めている。 また、平成17年度はカルシウム上昇による神経突起伸長の制御メカニズムについても解析を行い、以下の結果を得た。カルシウムストアからのカルシウム放出、あるいは細胞外からのカルシウム流入による細胞内カルシウム上昇は成長円錐細胞膜からのエンドサイトーシスを増強した。このエンドサイトーシスは成長円錐細胞膜に局在し、神経突起伸長を正に制御するシンタキシンの抑制によっても観察された。さらに、シンタキシンの過剰発現により、カルシウム依存的なエンドサイトーシスと神経突起伸長の抑制が解除されることも明かとなった。神経突起伸長には骨格系タンパク質の制御が重要である事は以前から様々な研究から知られていたが、今回の発見はカルシウムが骨格系タンパク質だけでなく、膜動態も制御することによって突起伸長を制御する事を示しており、神経軸索ガイダンスや神経回路形成の研究に重要なインパクトを持つと考えられる。現在、本研究結果の誌上発表の準備中である。
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