2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳・心血管内局所酸性化部位を認識する医薬キャリアーの創製
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15700335
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
朝山 章一郎 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (90315755)
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Keywords | pH応答性 / 医薬キャリアー / 生体高分子 / ポリ(L-ヒスチジン) / 親水性糖鎖 / バイオコンジュゲート / イミダゾール基 / 脳・心血管 |
Research Abstract |
主要死因である脳・心血管疾患の治療法を確立することは人類の健康・福祉にとって極めて大切なことである。血管疾患の誘因となる活性酸素過剰発生部位においては、組織微小循環や好気性エネルギー代謝の影響により、血管・血流内に局所的な弱酸性化部位が生じる。そこで、弱酸性pH応答性の新規生体高分子を合成し、得られた生体高分子を骨格に、新規pH応答性医薬キャリアーを創製した。 新規pH応答性生体高分子として、ポリ(L-ヒスチジン)へ複数の脂肪族第一級アミノ基を導入したアミノ化ポリ(L-ヒスチジン)を合成した。得られたアミノ化ポリヒスチジンのアミノ基を介した親水性糖鎖修飾により、ポリヒスチジン-マルトペンタオースコンジュゲートを合成した。アミノ化ポリヒスチジン1分子当たり平均1分子のマルトペンタオースが導入されたことを^1H NMR測定等により確認した。 次いで、得られたコンジュゲートをキャリアーにドラッグ包摂実験を試みた。ドラッグとしては、活性酸素消去能(SOD活性)を有するマンガンポルフィリン錯体を用いた。コンジュゲートと金属ポルフィリンを酸性条件下で混合後、透析により漸進的にpHを中性に上昇させるとともに、フリーな金属ポルフィリンを除去した。紫外・可視吸収スペクトル測定により、金属ポルフィリンはコンジュゲートと複合体を形成していることを確認した。さらに、系内のpHを6から5に減少させると、キャリアー・ドラッグ複合体水溶液の濁度が非線形的に減少した(イミダゾール基のプロトン化に起因すると考えられる)。この時、ドラッグである金属ポルフィリンがpH5以下でキャリアーであるコンジュゲートから解離したことを、水系GPC測定等により確認した。 以上、pHに応答する新規ドラッグキャリアーとしての機能評価の結果、ポリヒスチジン-糖鎖コンジュゲートは局所酸性化部位認識に有望な諸物性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shoichiro Asayama et al.: "Facile Chemical Modification of the Poly (L-histidine) for a New pH-Sensitive Polypeptide"Chemistry Letters. Vol.32 No.12. 1152-1153 (2003)
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[Publications] Shoichiro Asayama et al.: "Chemical Modification of Manganese Porphyrins with Biomolecules for New Functional Antioxidants"Journal of Biomaterials Science, Polymer Edition. Vol.14 No.11. 1169-1179 (2003)
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[Publications] Shoichiro Asayama et al.: "Application of Manganese Porphyrins with Superoxide Dismutase Activity to Antimetastatic Agent"Porphyrins. Vol.12 No.3-4. 103-106 (2003)
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[Publications] Shoichiro Asayama et al.: "Poly(L-histidine)-Carbohydrate Conjugate for a New pH-Sensitive Drug Carrier"Memoirs of Graduate School of Engineering, Tokyo Metropolitan University. No.53(in press). (2003)
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[Publications] 朝山章一郎 他: "生体高分子ポリヒスチジンを用いた新規pH応答性医薬キャリアーの設計"高分子加工. 第52巻 第10号. 40-44 (2003)
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[Publications] 朝山章一郎 他: "ポリヒスチジン-糖鎖コンジュゲートを用いたpH応答性ドラッグキャリアー設計"Drug Delivery System. Vol.18 No.3. 263 (2003)