2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神生理学的指標を用いた発達障害児の感覚情報処理機能障害評価の開発
Project/Area Number |
15700369
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 篤志 広島大学, 医学部, 助手 (40274063)
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Keywords | 発達障害 / 精神生理学的評価 / 感覚情報処理 |
Research Abstract |
感覚刺激に対して特異的な反応を示す発達障害児の評価方法について、精神生理学的指標による検査を開発することが本研究の目的である。今年度は、健常成人を対象として、検査手順の確定および分析方法の検討を行った。 検査方法については、これまで発達障害リハビリテーション領域にて用いられている感覚情報処理機能検査(感覚統合検査、感覚入力反応検査、PEP-R)の検査項目の一部と精神生理学的指標としての局所発汗量測定を組み合わせた検査手順を確立した。すなわちデジタル発汗計を、対象者の拇指球付近に装着し、(1)ナイロンフィラメントによる皮膚刺激、(2)フラッシュライトによる視覚刺激、(3)ベルによる聴覚刺激等を提示し、これらの感覚刺激入力に対する精神性発汗量をmg単位で測定した。測定の状態は、パソコンに接続されたムービーカメラによって録画した。測定手順の問題点としては、当初の予測以上に精神性発汗量が安定せず、測定のためのベースライン設定が困難なケースが認められた。そこで刺激入力前に閉眼にて精神的鎮静を促す方法や単調な視覚刺激を繰り返し提示するなどの手順を追加することにより、若干の改善が認められた。また分析方法については、発汗波形の変動パターンの個人差が著明であることが確認され、これらの個人差に出来る限り影響を受け難い分析方法を検討した結果、刺激入力直前の精神性発汗量と刺激入力後の最大発汗量の比率を求め、連続刺激に対するこの数値の馴化傾向を分析する方法が簡便かつ有用であった。さらに発汗パターンについては、先行研究にて示されている発汗パターン分類等を参考に、本研究にて採用する発汗パターン類型について検討した結果、6型程度のパターンにて分類可能であることが示唆された。
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