2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳外傷後の高次脳機能障害におけるリハビリテーションプログラムの検討
Project/Area Number |
15700383
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
花村 美穂 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20329709)
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Keywords | 脳損傷 / 高次脳機能障害 / リハビリテーション |
Research Abstract |
1 外傷性脳損傷後の高次脳機能障害患者に認知訓練を行い、入退院時のMMSE、FIM認知3項目(社会的交流・問題解決・記憶)合計、メタ認知レベルを評価検討した。対象は22名、平均受傷後日数77日、平均在院日数65日であった。入退院時の変化として、MMSE13点→17点、FIM認知3項目合計10点→13点と改善し、またメタ認知レベルは7割で1(障害に全く気づいていない)から3(障害に部分的に気づく)に改善した。国際障害分類に認知障害を当てはめると、心身機能・構造レベル、活動レベルの両者で改善がみられたことになり、この改善にはメタ認知の関与が大きいことが示唆された。 2 外傷性脳損傷、脳卒中後の高次脳機能障害に対する訓練において、異なる訓練法を順に用いることで回復期リハビリにおける訓練効果を検討した。対象は5名で、平均年齢43才、平均発症後日数96日、病名は脳挫傷4名、くも膜下出血1名であった。方法は、2種類(A、B)の訓練法を設定し、A→B→Aの順に各3週間ずつ行った。訓練法のAはドリル中心の机上訓練、Bは買い物など日常に即した訓練とした。入院時、A、Bの各訓練終了後にFIM、WAISR、FAMの障害適応の項目等を評価した。入退院時で比較したところWAISR(FIQ)69→79点、FIM合計89→108点と改善がみられたが、AかB一方での伸びが他方より大きいという一定の傾向は認められなかった。メタ認知(FAMの障害適応)が3/7以上に改善した時点でFIM、WAISの得点改善が得られる傾向にあった。高次脳機能障害の症状は多彩であり、また情動面、精神面の波が訓練や検査に与える影響も大きいため、A、Bの優劣が不明確となった可能性がある。今回の研究のみでは自然経過と治療効果との区別は困難であるが、メタ認知の改善と高次脳機能障害の改善が関連することから、ある程度の訓練効果の存在が示唆された。
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