2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラット後肢懸垂誘発萎縮ヒラメ筋線維におけるデスミンとプレクチンの発現解析
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15700387
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
奈良 聡一郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (50352315)
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Keywords | 廃用性筋萎縮 / デスミン / プレクチン / ラット / 後肢懸垂 |
Research Abstract |
本研究は、後肢懸垂と後肢懸垂後のラットヒラメ筋における、デスミンとプレクチンの遺伝子発現をRT-PCR法やin situハイブリダイゼーションなどの分子生物学的手法を用いて解析することを目的とする。 平成17年度は、正常群、2週間、4週間の後肢懸垂群と、4週間懸垂後、3日間、1週間、2週間の懸垂解除群を作製し、各モデルのヒラメ筋に対するデスミン、プレクチンのin situハイブリダイゼーションを施行し観察した。 その結果、正常群、2週間、4週間懸垂群に対するデスミン、プレクチンのin situハイブリダイゼーションでは、明瞭な反応は見られなかったが、懸垂解除群に対するデスミシのin situハイブリダイゼーションでは、3日間、1週間、2週間ともに、局所的ではあるが一部の筋線維に有意な陽性反応が見られた。このような筋線維は、HE染色標本で好塩基性の筋形質を持ち、中心核や筋線維周囲に核が多数見られる再生中の筋線維にほぼ一致していた。 また、プレクチンのin situハイブリダイゼーションにおいても、弱い陽性反応を示す筋線維が懸垂解除群に見られ、それらはデスミンの反応と同様、筋線維周囲に核が多数見られる再生中の筋線維にほぼ一致していた。 以上の結果から、正常個体における通常の状態では、in situハイブリダイゼーションで陽性となる程のタンパク合成は行われておらず、後肢懸垂期間における筋萎縮の進行期においても、この傾向は変わらないと思われる。これは筋線維が萎縮していく時は、細胞骨格を増強、拡張していく必要がないためではないかと推測される。 しかし、懸垂が解除され、萎縮筋線維が肥大していく過程では、細胞骨格の再構成、増強、拡張が必要なため、デスミンとプレクチンのタンパク合成がより活動的に行われると考えられる。一方、懸垂解除後に、一部の再生線維以外の筋線維でin situハイブリダイゼーションの有意な陽性反応が見られないのは、萎縮進行期ではデスミン、プレクチンはともに変性、崩壊せず、それぞれの立体構造の変化(disorganization)が主体であり、懸垂解除期には、変性せずに保持されていたデスミン、プレクチンが再度、もとの構造を再構成(re organization)されるため、両タンパクを積極的に合成する必要がないためではないかと推測した。
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