2005 Fiscal Year Annual Research Report
前十字靭帯不全膝の前方引き出しに対する制御機構の解明-PETによる評価を用いて-
Project/Area Number |
15700403
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大沼 正宏 東北大学, 病院, 助手 (90344663)
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Keywords | 前十字靭帯損傷 / PET |
Research Abstract |
膝前十字靭帯(ACL)は,膝関節の支持性をになう重要な靭帯の一つである.ACL不全によって生じた前方引き出しを制御する代償機能についての研究は,未だ一定の見解は示されていない.全身の動的な筋活動が評価できるPositron Emission Tomography(PET)を用いて,ACL不全膝における膝周囲筋の筋活動を評価し,それにより膝安定化に寄与する筋群を同定できないだろうかと考え,今回の研究をおこなった.ACL不全膝と診断され,受傷後3カ月以上経過した慢性例を対象とした.運動負荷としてACL不全膝患者が不安定性・不安感を感じやすい運動である下り坂でのランニングをおこなった.負荷6時間前より絶飲食とし,運動開始10分前に,18F-fluorodeoxyglucose(FDG)を37MBq静注した.運動負荷をおこなった直後に,SET-2400W-Sを用い下半身を3次元収集モードで撮像した.関心領域以下ROIを両大腿前面,大腿後面,下腿後面にそれぞれ設定した.FDGの筋肉内への取り込みはStandardized Uptake Value(SUV)を用いて半定量的に評価した.大腿後面と大腿前面との取り込みの比をH/Q比,大腿後面と下腿後面との取り込みの比をH/G比,下腿後面と大腿前面との取り込みの比をG/H比とし,それらを用いて各筋群間の比較をおこなった.患健側に有意差はなかったが,大腿前面と下腿後面で患側の取り込みが多い傾向にあった.H/Q比,G/Q比,H/G比より,ACL不全膝は大腿前面の筋群が大腿後面の筋群より多く活動し,健側や健常者より下腿後面の筋群が多く活動していることを示唆していると考えられる結果が得られた.今回の結果は,大腿四頭筋・下腿三頭筋がより強く活動し,関節面にCompression Forceが生じ,その力が前方引き出しに対抗するとする説を支持していると考える.
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