2003 Fiscal Year Annual Research Report
筋の酸素代謝能力を評価する非侵襲的手法の考案とその生理学的機構の検討
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15700410
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
増田 和実 金沢大学, 教育学部, 助教授 (50323283)
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Keywords | 骨格筋 / ミオグロビン / 酸素供給機構 / 近赤外線分光装置 / ヘモグロビン / 筋収縮 / 酸素動態 / 指数関数モデル |
Research Abstract |
近赤外線分光装置(NIRS)は、組織酸素動態を非侵襲的かつ連続的に測定・評価する方法として利用されている。しかしながら、筋収縮中におけるNIRSシグナルのHb及びMbの寄与について未だ明らかにされていない。そこで平成15年度では、収縮中におけるNIRSシグナルのHb及びMbの寄与度を調べるために、筋収縮開始直後におけるNIRS kinetics profileをカフを用いて下腿の血液量を変化させながら検討し、NIRSシグナルに及ぼすMbとHbのコンタミネーションを類推しようとした。健常男性を対象にして35%、50%、65%MVCの3強度及び通常条件、阻血条件、充血条件の3条件下で等尺性足底屈運動を行った。脱酸化HbとMb([deoxy-Hb/Mb])のNIRSシグナル変化は、腓腹筋内側頭で測定した。kineticsは指数関数モデルに当てはめ、振幅、遅れ時間、時定数、反応時間のパラメーターを用いた。[deoxy-Hb/Mb]は、筋収縮開始から不変の局面を経て指数関数的に上昇した。振幅は異なる収縮コンディションで変化しなかった。また、遅れ時間及び時定数も3コンディションでは有意に変化しなかった。時定数及び反応時間は収縮強度の上昇とともに有意に短縮した(p<0.01)。仮にNIRSがHbの動態を反映するならば、血流の増減はNIRS kineticsに影響するはずである。しかしながら、血液量を変化させてもNIRS kinetics profileには大きな変化は認められず、筋収縮時に観察されるNIRSの変動は、血流の影響よりもむしろ、細胞内の酸素解離状況の影響を受けている可能性が推察された。また、収縮強度の上昇に伴って、時定数及び反応時間が有意に短縮したことから、収縮レベルに応じたミトコンドリアの代謝速度の亢進が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Masuda K, Tanabe K, Kuno S, Hirayama A, Nagase S: "Antioxidant capacity in rat skeletal muscle tissues determined by electron spin resonance."Comp Biochem Physiol Pt.B. 134. 215-220 (2003)
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[Publications] Masuda K, Murakami H, Tanabe K, Kuno S, Jue T: "Endurance training improves muscle VO_2peak but not alters tissue oxygenation level?"Med Sci Sports Exerc. 35. S95 (2003)
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[Publications] Masuda K, Kikuhara N, Takahashi H, Yamanaka K: "Relationship between muscle cross-sectional area and strength in various isokinetic movements among soccer players."J Sports Sci. 21. 851-858 (2003)
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[Publications] Sugawara J, Otsuki T, Tanabe T, Maeda S, Masuda K, Kuno S, Ajisaka R, Matsuda M: "Statistical evaluation of endurance-training effects on systolic blood pressure in elderly people using a single-case design."Int J Sport Health Sci. 1. 148-153 (2003)
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[Publications] 田辺解, 増田和実, 衣笠竜太, 菅原順, 鯵坂隆一, 松田光生, 河野一郎, 久野譜也: "中高齢女性における血中の抗酸化能力および酸化還元バランスに対する異なるタイプの運動トレーニングの影響"日本運動生理学雑誌. 10. 65-76 (2003)
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[Publications] 衣笠竜太, 川島紫乃, 増田和実, 鯵坂隆一, 松田光生, 久野譜也: "筋力トレーニングによる中高年女性の筋力増加とその要因としての筋の動員と筋肥大の経時的変化"体力科学. 52 Suppl. 105-118 (2003)
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[Publications] 宮村実晴 他: "運動と呼吸(分担:増田和実;運動へのミオグロビンの役割)(宮村実晴 編集)"(株)真興交易(発行予定). (2004)