2004 Fiscal Year Annual Research Report
経口的グルタミン摂取が運動時のレドックス調節,および免疫機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
15700411
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小山 勝弘 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (30313779)
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Keywords | 運動 / グルタミン / 酸化ストレス / グルタチオン / 細胞性免疫機能 / グルココルチコイド |
Research Abstract |
運動に伴う活性酸素種生成の亢進や抗酸化機能の低下現象に対して、グルタミンの経口投与が抑制的に作用することが示唆されている。すでに得られた知見と合わせると、グルタミンインバランスを是正することが抗酸化システムや細胞性免疫機構を正常に保つために重要な視点であると理解できる。しかしストレス時のグルタミン動態はグルココルチコイドの影響下にあると報告されており、運動そのものは酸素摂取量の増大などの様々な代謝的変化を伴うため、グルココルチコイドの単独効果に対するグルタミン摂取の影響を検討する必要がある。そこで人工グルココルチコイド製剤(Dexamethasone, Dexa)を用いて異化亢進状態をシミュレートし、末梢血リンパ球機能の変化に対して、グルタミン経口摂取が及ぼす影響について検討した。 被験動物として9週齢のWistar系雄ラット(n=24)を用いた。2週間にわたる予備飼育を行い、5%相当(重量)のL-glutamineを添加した飼料を摂取するグルタミン投与群(n=12)と、窒素量をカゼインで調整したコントロール群(n=12)の大きく2群に分類した。2週間の予備飼育終了後、両群の半分のラット(n=6)に、0.5mg/kg/BM/dayの割合でDexaを7日間連続で腹腔内投与し、残りの半分にはplaceboとしてsalineを投与した。その結果、Dexa投与により、胸腺、副腎、脾臓の著明な萎縮と共に、遅筋を除く大部分の骨格筋にグルタミン濃度の低下を伴った萎縮が確認され、リンパ球数は減少し、リンパ球幼若化反応も低下した。これに対し、経口的グルタミン摂取を続けた場合、骨格筋内アミノ酸動態に対して有意な影響を及ぼさなかったが、骨格筋の萎縮が有意に抑制された。またグルタミン摂取により、Tリンパ球数の減少は改善されないが、リンパ球幼若化反応の低下が軽減される傾向を示した。
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