2005 Fiscal Year Annual Research Report
経口的グルタミン摂取が運動時のレドックス調節,および免疫機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
15700411
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小山 勝弘 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (30313779)
|
Keywords | 運動 / 酸化ストレス / グルタミン / グルタチオン / 細胞性免疫機能 / グルココルチコイド |
Research Abstract |
激しい運動時や異化的疾病時にグルココルチコイド等によってもたらされると考えられる抗酸化機能抑制作用に対し,積極的な予防対策を講じるための栄養学的手段として,グルタミン経口摂取の影響を検討することを目的とした.すでに前年度までの解析の中で,グルココルチコイドによるグルタミンインバランスがグルタチオンレベルを低下させて生体の抗酸化機能を抑制する可能性が示唆されている.そこで,人工グルココルチコイド製剤を用いて異化亢進状態をシミュレートし,生体の抗酸化システムの変化に対して,グルタミン経口摂取が及ぼす影響について検討した. 被験動物として7週齢のWistar系雄ラット(n=21)を用いた.12h L-D4サイクルによる1週間の予備飼育後に,dexamethasone(Dexa)を7日間連続で腹腔内投与する群(0.5mg/kg/BM/day,n=14)とプラセボ群(n=7)に分類した.Dexa投与群の半分は,本実験中,5%相当(重量)のL-glutamine添加飼料を摂取させるグルタミン摂取群とした. 実験終了時の体重はDexaにより有意に低下したが,グルタミンの経口摂取はその低下を抑制することが示された.Dexa投与に伴う肝臓グルタチオンレベルの低下についても,有意差は認められなかったがやはりグルタミン摂取により抑制される傾向が示された.酸化ストレス指標として肝臓タンパク質カルボニル含有量を検討したが,群間に差異は認められなかった.しかしDNAの酸化的損傷マーカーと考えられる8-OHdG含有量を評価したところ,Dexa投与により認められた有意な8-OHdGレベルの増大は,グルタミン摂取群では完全に消失していた. これらの結果から,グルココルチコイドにより生じる体重減少などの異化や酸化損傷の促進現象は,いずれもGln摂取により軽減する可能性が示唆された.
|