2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の収縮様式の違いが筋タンパク合成に及ぼす分子機構の解明
Project/Area Number |
15700415
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Research Institution | Chukyo Women's University |
Principal Investigator |
村上 太郎 中京女子大学, 健康科学部, 教授 (10252305)
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Keywords | 骨格筋 / C_2C_<12> / 培養系 / 伸長刺激 / p70^<S6K1> / mTOR / リン酸化 |
Research Abstract |
骨格筋は自らにかかる力を感受してタンパクの合成を増減する機構を有しているが、その分子機構の詳細は明らかにされていない。そこで、骨格筋細胞(C_2C_<12>筋管細胞)を培養系で伸長刺激できるシステムを関発し、伸長刺激がタンパク合成に及ぼす影響をeIF4結合タンパク(4E-BP1)とp70^<S6K1>のリン酸化を指標にして検討した。昨年度までの研究において、C_2C_<12>筋管細胞は伸張刺激によって肥大する傾向が認められること、肥大にはp70^<S6K1>のリン酸化が関与している可能性が示唆された。本年度は、後者に関して実験例数を増し、p70^<S6K1>のリン酸化が伸張刺激によって増大するのか否かを統計的に明らかにした。また、通常われわれの細胞は低栄養状態では栄養素に対する感受性が高まるため、筋管細胞を伸張刺激する前に筋管細胞を低栄養状態にしておき、ストレッチの直前もしくは直後に高栄養状態に戻すことにより、より大きなタンパク合成を誘導できるか否かについても検討を試みた。 その結果、p70^<S6K1>のT389およびT421/S424のリン酸化は、伸長刺激によって統計的に有意に増大した。それに対して、p70^<S6K1>の総タンパクの発現は1時間までの伸長刺激によって変動しなかった。これらのリン酸化の増大がmTORを介して起こるのか否かを明らかにするため、ラパマイシン存在下でC_2C_<12>筋管細胞を伸長刺激したところ、ストレッチの有無にかかわらず両リン酸化部位におけるリン酸化は完全に消失した。以上の結果は、伸長刺激によるC_2C_<12>細胞のタンパク合成の増大にp70^<S6K1>のリン酸化が関与していることを示している。筋管細胞の栄養状態が伸張刺激によるタンパク合成に及ぼす影響についても現在検討中である。
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