2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動学習におけるフィードバック情報の呈示頻度と情報量の最適性に関する研究
Project/Area Number |
15700428
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
田島 誠 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (70330644)
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Keywords | 運動学習 / 結果の知識 / フィードバック・スケジュール / 漸減要約フィードバック / 呈示頻度 / 課題の難易度 |
Research Abstract |
本年度の研究では、実験1として運動学習に有効な結果の知識(KR)のフィードバック(FB)スケジュールについて、従来の即時FBと漸減的FB、要約FBと本研究で新たに考案した漸減要約FBをゴルフの7mパッティングというエイミング課題を用いて比較・検討した。習得段階では、要約FB以外のパフォーマンス(正確性と安定性)は非常に高く、有効な学習促進が認められた。保持段階では、先行研究の指摘どおり、即時FBのパフォーマンスに著しい低下が認められ、漸減FBと要約FBにもパフォーマンスの低下が示された。しかし、漸減要約FBにはほとんどパフォーマンスの低下が示されなかった。以上の結果から、本研究で考案した漸減要約FBは習得段階において高いエラー修正機能を有するとともに、習得したスキルを忘却せずに維持できる高い保持能力も獲得できることが明らかとなった。つまり、学習初期段階では「1試行毎に」KRを呈示し、学習が進むにつれて「2試行毎に」「3試行毎に」という具合にKRの呈示頻度を減少させつつ、学習とともにKR量は「2試行分」「3試行分」を要約することによって減少させないことが、スキル学習におけるKRのFBスケジュールとして非常に有効であることが示唆された。 実験2では、実験1と同様の運動課題を用いて、運動学習に有効であった漸減要約FBの最適なKRの呈示頻度を、課題の難易度との関係から検討した。課題の難易度が高い場合にはKR呈示頻度を高くし、課題の難易度が低い場合にはKR呈示頻度を低くしたFBスケジュールが有効であると仮定したが、実験2の結果は習得段階および保持段階にパフォーマンスにおいて呈示頻度(高頻度・中頻度・低頻度)間に有意な差は示されなかった。しかし、課題の難易度(右打と左打)間にも有意な差は示されなかったことから、本実験で設定した課題の難易度に問題があったと考えられる。
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