2003 Fiscal Year Annual Research Report
バリスティックトレーニングにおける安全な負荷重量とその効果
Project/Area Number |
15700431
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
北田 耕司 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 助教授 (70280378)
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Keywords | バリスティックトレーニング / 負荷重量 / 動作速度 / ばね力 / ダンパ力 / ジャッキ力 / スクワット |
Research Abstract |
動作速度と力発揮の関係を検討するため,以下の2点を目的とした.(1)スクワット動作における身体機能を「ばね」「ダンパ」「ジャッキ」の3種類の機械要素にモデル化し,スクワットの動作速度と力発揮パターンの特徴をとらえる.(2)スクワット動作中の外側広筋(VL)および大腿二頭筋(BF)の筋電図活動を観察し,力発揮パターンと筋の活動動態の関係を把握する.被験者は健康な男子7名(17-18歳)であった,スミスマシーンを用いたハーフスクワットを課題とし,負荷重量は15%,30%,60%RM,動作速度は低速(約2秒に1回)および高速(初動負荷法・約1秒に1回)とし,それぞれの組み合わせによる6条件とした.スクワット動作中の床反力と重量物の変位から,身体の力発揮機構を「ばね力」「ダンパ力」「ジャッキ力」として算出した.重量物の移動が下降から上昇に変化する局面におけるばね力またはジャッキ力の最高値は低速の場合,負荷の増加に伴って大きな値を示した.高速の場合,負荷の増大に関係なく約1500kNであった.低速,高速ともに負荷の増大に伴い,重量物の下降期におけるダンパ力の働きが大きくなった.これらの結果より,15%RMの負荷であっても高速であれば,短時間ではあるが60%RMと同等の力発揮を行なっていると考えられた.また,負荷の上昇に伴って下降期にダンパ力を発揮し,速度調節を行なうことによって切り返し期の力発揮を1500kN程度に調節している可能性が考えられた.VLおよびBFの筋電図活動はいくつかの条件で,高速と低速の間に有意な差がみられたが,力発揮パターンにおける高速と低速の差を考慮すると,速度の違いによる筋活動の差は小さいものと考えられた.これはスクワット動作が多関節運動であり他の筋活動の影響が大きいこと,また高速動作の場合,多くの筋活動の同期性により力発揮が実現している可能性が推察された.
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