2003 Fiscal Year Annual Research Report
複雑な動作の習得に伴う身体各部の役割の変容からみた最適動作の発現様相に関する研究
Project/Area Number |
15700434
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
高松 潤二 独立行政法人日本スポーツ振興センター, 国立スポーツ科学センター・スポーツ科学研究部, 研究員 (20344278)
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Keywords | 動作習得 / バイオメカニクス / 動作分析 |
Research Abstract |
ヒトの動作習得の過程を明らかにするため、動作課題として「その場跳躍1回捻り着地」を、健康な成人男性被験者に行わせた。試技選択の理由は、日常生活ではほとんど経験されない動作であるとともに、ほとんどの人が実施可能なレベルの難易度であると考えられることによる。はじめに、被験者には細かな説明をせず、「その場跳躍から一回空中で捻って、はじめの足の位置になるべく元どおりに着地してください。」と指示し、これを数回行わせた(以下、「正回転」という)。次に、それとは逆方向の回転で同じように行わせ(以下、「逆回転」という)、正回転と同じような主観的出来映えでできるようになるまで十分な休息をはさみながら数十回行わせた。このとき、両足に作用する床反力を計測するとともに、ビデオカメラを用いて試技を撮影した。なお、被験者には床反力の結果や撮影した映像、検者側からのアドバイス等は一切与えられなかった。実験の結果、これまでの被験者については、正回転は数回の実施で被験者が主観的に満足のいく試技になったが、逆回転については正回転に比較して数倍の試行回数を経て主観的満足のいく試技となった。また、被験者によっては、逆回転の試技を繰り返している途中で急に出来映えが悪くなる現象が見られた。これは、被験者の内省発言として得られたことであるが、一つには、試技を実施する際の注意点(視線や跳躍時に意識する身体部位等)について考え出し、いろいろ試し出すとできなくなるようである(最適動作の探索行為)。また、今回設定した試技が体の長軸回転を伴うものであるため、三半規管の状態が身体の姿勢制御に何らかの影響を及ぼし、その結果として動作の入力(動作の計画・命令)と出力(発現した実際の動作)の関係が混乱したことも原因の一つとして挙げられよう。
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