Research Abstract |
本研究の助成期間は平成15〜17年度であるが,我々は平成13年度から女性高齢者を対象とした縦断研究を行っているため,平成16年度には4年目の測定となる者が15名含まれていた。この15名の4年間の日常歩行数,踵骨超音波計測値,骨吸収マーカーの推移に着目した。 【方法】対象者15名は,骨代謝に関連する病歴を持たない日本人女性高齢者である。平成13年度における平均年齢は70.9±5.0歳であった。これらの対象者は,平成13年度から16年度まで,4年間連続して踵骨超音波測定および歩行数調査を受けた。超音波測定はLunar社製A-1000を用いて,右踵骨のSOS, BUA, Stiffnessを測定した。歩行数は7日間連続記録し,歩数/日を算出した。また,平成13,15,16年度には,骨吸収マーカーとして尿中デオキシピリジノリン(DPD)を測定した。尿サンプルには午前10時前後の随時尿を用いた。 【結果および考察】対象者の平成13,14,15,16年度のStiffness平均値は,それぞれ59.2,58.3,58.4,59.1であり,有意な低下を示さなかった。高齢者のStiffnessは,約1%/年の割合で減少することが知られているが,本研究の対象者はStiffnessが4年間にわたり維持されていた。平成13,15,16年度のDPD平均値は,それぞれ6.5,5.5,4.5μmol/mol Cr.であり有意に低下した。このことは骨吸収が抑制されていることを意味する。対象者の歩行数平均値は初年度から順に,9071,8546,8822,7338歩/日と減少傾向にあったものの,16年度でも7000歩/日以上が確保されていた。我々は過去に横断研究において,6000歩/日以上の歩行数が骨量維持に有効である可能性を報告した。今回の縦断研究結果は,これを支持する結果となった。
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