2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における単一運動種目の長期実践が総合的な体力および健康に及ぼす効果
Project/Area Number |
15700439
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
重松 良祐 三重大学, 教育学部, 助教授 (60323284)
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Keywords | 高齢者 / 運動 / 健康 / 運動継続 / 運動種目 / 体力 |
Research Abstract |
1.はじめに 運動実践によって体力水準や健康度を保持できることが多くの研究から明らかになっている。運動を勧める側としては、"飽き"による運動習慣の消失や、障害の発生を防止するとともに、総合的な体力水準や健康度の向上を願う立場から複数種目の実践を勧めている。しかし、高齢者本人を総体にみた場合、つまり総合的な体力水準や健康度からみた場合,単一種目の長期にわたる実践が、どのような効果をもたらしているかについては明らかになっていない。本研究では、複数の運動種目を長期にわたって実践した場合の、総合的な体力や健康への効果を明らかにすることを最終的な目標(ゴール)に位置づけ、その第一段階として標記の課題を設定した。 2.研究実績 運動習慣のある者の中からウォーキングを主に3年以上実践している18名(ウォーキング群:平均年齢67.4±3.7歳)、および運動を実践していない者20名(一般群:65.4±9.7歳)を対象とした。聞き取り調査の結果、ウォーキング群の運動実践状況は16.9回/月、56.6分/回であった。運動中の主観的運動強度(RPE)、は11.6±1.6と、「楽である」に相当していた。全身持久性を示すVO_<2max>とVO_<2LT>において、ウォーキング群(30.6±4.4、18.5±3.1ml/kg/min)は一般群(27.7±6.0、16.6±3.9ml/kg/min)と有意差を示さなかった。握力や垂直とび、立位体前屈、反復横とびにおいて、平均値はウォーキング群が高かったものの、その差は有意ではなかった。また、収縮期血圧、拡張期血圧、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、ヘマトクリット、一秒量(肺機能)のいずれにおいても顕著な差を認めなかった。これら健康・体力水準を総合化した指標である活力年齢ではウォーキング群が58.7±9.6歳と、暦年齢よりも有意に低かった。一方、一般群では63.0±11.1歳と暦年齢との間に有意な差を認めなかった。これらの結果から、ウォーキング実践が特定の健康や体力要素を向上させるというよりは、全身に対して偏りなく効果をもたらすということが示唆された。
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Research Products
(1 results)