2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15700452
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
柿山 哲治 九州保健福祉大学, 保健科学部, 専任講師 (10255242)
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Keywords | 高齢者 / 身体活動量 / 動脈硬化 / ライフコーダ / 血圧脈波検査装置 |
Research Abstract |
群馬県吾妻郡中之条町在住の65歳以上の高齢者を対象に、身体活動量と動脈硬化度の関係について横断的検討を行った。身体活動量の測定にはスズケン社製「ライフコーダ」を用い、動脈硬化度の測定には日本コーリン社製「血圧脈波検査装置(BP-203RPE)」を用いた。ライフコーダのアルゴリズムは、単位時間(4秒間)あたりの歩数と加速度レベルの組み合わせにより10段階(体動レベル0〜9)の身体活動・運動強度を決定し、2分毎に積分した。なお、歩行と認識できない低レベル(約0.06G以上約0.15G未満)の活動を微小運動(例えば、睡眠中は寝返り、覚醒中は立位談話や座位作業など)と認識し、2分間の強度ポイント(積分値)が0の場合に限り、0.5と表示した。また、高齢者における様々な生活状況を勘案し、以下に示す通り、単位時間あたり25%以上の欠損(主因は非装着)を含むデータは不採用とした。(1)1日あたり7時〜19時(12時間)のうち3時間以上の連続非装着、1ヶ月あたり約1週間以上の連続・断続非装着、1年あたり約3ヶ月以上の連続・断続非装着。なお、原則として「体動レベル0」を非装着とみなした。ただし、熟睡時や静止時などほとんどもしくは全く動かない場合も「体動レベル0」となるが、その状態は比較的短く断続的であるため、「1日あたり」の基準のみ「連続非装着」とした。一方、動脈硬化度の指標としては、5分間の安静仰臥位にて、四肢血圧(上腕/足首)同時測定装置による上腕-足首動脈間脈波伝播速度(baPWV)と大動脈起始部-大腿部動脈間の脈波伝播速摩(hfPWV)を測定した。 本研究の対象は、男性64名、女性79名の143名(範囲66歳〜87歳、平均年齢:72.5±4.7歳)で、年間歩数の平均値は6883.1±2729.2歩であった.歩数とbaPWVの間にはf=-0.213(P<0.05)、hfPWVとの間にはr=-0.231(P<0.01)の有意な負の相関関係が認められた。また、1年間の歩数の平均値を4分位に分けて、baPWVおよびhfPWVとの関係を調べるために、性および年齢を補正して共分散分析を行うと、年間平均歩数の最も少ないグループ(3484.7±1127.5歩)のbaPWV(2021.3±503.2cm/s)およびhfPWV(1485.8±491.5cm/s)、は最も多いグループ(10462.8±1298.7歩)のbaPWV(1759.0±350.9cm/s)およびhfPWV(1224.8±338.8cm/s)よりも有意(それぞれP<0.05)に高値を示した。したがって、高齢者においても日常にける身体活動量の低下は、動脈硬化度の進行を促進させる可能性が示唆された。 今後、身体活動強度や頻度についても、性別、前後期高齢者別に検討を加える必要がある。
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