2003 Fiscal Year Annual Research Report
薬害HIV感染による健康被害の構造的把握に関する研究
Project/Area Number |
15700462
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
若林 チヒロ 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助手 (40315718)
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Keywords | 生活 / 就労 / 生計 / 障害者 / HIV / AIDS / 健康被害 |
Research Abstract |
本研究の目的は、障害を受けたり疾患に罹患した人の生店変化を構造的に整理することにあり、とくに薬害HIV感染者においてその状況を把握しようとするものである。HIV感染による身体や生命への影響、社会生活面への影響、精神面への影響の関連を分析して、健康や生活への影響全体の構造を明らかにすることを目的としている。 3ヵ年計画のうち初年度は、既存資科の収集・検討と、関係者へのヒアリングおよび調査票の検討を行い、一部医療機関で調査を開始した。調査の課題は社会生活の要である生計と就労の現状に絞った。感染による身体的な状態については、医学的な研究でその実態は明らかである。精神的な状態については、既存の調査結果から単なるフェルトスティグマだけでなく、当時の医療・受診行動に対する未整理の思いがトラウマとなって精神的状態の悪化を招いている事が指摘されている。しかし、社会生活面については、手記やヒアリングによる報告が中心で実態も明らかになっていない。 そこで、初年度および次年度はとくに社会生活に焦点をあてて、資料収集とヒアリングを行い調査票の検討を行った。現在、一部医療機関を通じて調査中である。中間集計の結果のうち就労に関する点のみ報告すると、(1)告知時と比べ無職者および非正規従業員が増加しており、とくに告知時に学生だった若年層の就労に制約が大きい傾向があること。(2)就労上の障害は、服薬や通院などの健康管理上の困難さよりも、職場での病名漏洩不安のほうが強いこと。(3)薬害以外の感染者と比べても、無職者の割合が多いことなど社会生活面全体に制約の度合いが高い傾向があること、などが予想された。詳細な結果については、次年度以降の調査に基づいた検討が必要である。
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