2003 Fiscal Year Annual Research Report
野菜に含まれるポリフェノールは咀嚼によってどのように変化するか
Project/Area Number |
15700468
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山口 智子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助手 (70324960)
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Keywords | ラジカル捕捉活性 / ポリフェノール / 野菜 / ポリフェノールオキシダーゼ / 咀嚼 / 加熱処理 / アスコルビン酸オキシダーゼ / アスコルビン酸 |
Research Abstract |
ポリフェノールオキシダーゼは野菜類を調理・加工する過程で、切断や破砕などによって組織の損傷を受けた際に作用する。同じ現象が野菜類を摂取した際の口腔内での咀嚼過程においても起こりうることが予想されることから、本研究では野菜類に含まれる種々のポリフェノールに対する咀嚼の影響を、ラジカル捕捉活性の変化とともに解明することを目的として研究を遂行した。本年度は、野菜としてナス、ニンジン、ピーマン、ブロッコリー、レタスを用い、ラジカル捕捉活性、アスコルビン酸量、総ポリフェノール量、クロロゲン酸量、および酵素活性(ポリフェノールオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ)を測定した。ポリフェノールオキシダーゼ活性はナスおよびレタスで高く、ニンジンおよびブロッコリーは活性を示さなかった。また、アスコルビン酸オキシダーゼ活性は、ブロッコリーで高く、ピーマンは活性を示さなかった。生野菜と加熱野菜を用いて咀嚼の影響を調べた結果、ポリフェノールオキシダーゼ活性またはアスコルビン酸オキシダーゼ活性をもつナス、ピーマン、ブロッコリー、レタスは、咀嚼によりアスコルビン酸やポリフェノール化合物が減少した。しかし、加熱によってポリフェノールオキシダーゼまたはアスコルビン酸オキシダーゼが不活性化することにより、ポリフェノールやアスコルビン酸の咀嚼による減少が抑制された。その結果、ラジカル捕捉活性が保持された。このことから、野菜を加熱して摂取することは、ラジカル捕捉活性と活性成分の咀嚼中の損失を抑え、これらを有効に摂取する上で好ましいことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)