2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15700470
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
太田 敏郎 静岡県立大学, 生活健康科学研究科, 助手 (40285193)
|
Keywords | 血管新生 / 癌 / 食品成分 / アポトーシス / ヒト血管新生モデル / 茶カテキン / EGCg / caspase |
Research Abstract |
固形癌の増大には、新たに作られた腫瘍組織に栄養素や酸素、さちには成長因子類を供給するために血管の新生が必要である(腫瘍誘導血管新生)。この血管新生を抑制することで癌の進展が阻止できるという考えに基づき、癌治療のための血管新生阻害剤の探索、開発が近年盛んに行われている。一方で、日常的に摂取可能な食品成分で血管新生を抑制できれば、薬よりも弱い作用であっても癌の予防や再発防止には有効であると考えられる。本研究は、健康長寿の妨げになっている癌を、食品の開発を通して予防することを目指すものである。これまでの研究から、茶カテキンEGCgがその有望な物質として浮かび上がってきているが、これ以外に新たな血管新生抑制食品成分を探索した。さらに、血管新生抑制効果のあったサンプルについて、その作用機構を分子レベルで解析した。新たな血管新生抑制食品成分の探索のため、in vitroヒト血管新生モデルを用いて管腔形成阻害実験を行い、さらにマウス背部皮下法により生体内での腫瘍血管新生抑制効果を検討した。数十種の食品成分をこのようなin vitroおよびin vivoバイオアッセイ系でスクリーニングした結果、これまで解析を進めてきたEGCgと同等の効果を示すサンプルがいくつか見出されてきた。 そこで、これらのサンプルについてアポトーシスとの関連を調べたところ、血管新生抑制がcaspase-3の活性化を介したアポトーシス誘導を伴っていることが示された。さらに、もうひとつのアポトーシスシグナルp38 MAPKの変化や血管新生特異的なタンパク質発現の変化などについても解析を行った。今後は、有効成分が未知のサンプルについてはこれを同定して作用メカニズムのさらなる解明を進めると同時に、様々な成分の組合せによる複合的な効果で、より強い抑制を示す組成を探索して行く。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 小林智美, 太田敏郎, 千場智尋, 原征彦, 加治和彦: "食品成分による血管新生抑制とその分子機構の解析"日本癌学会総会記事. 94. 431 (2003)
-
[Publications] Kondo T., Ohta T., Igura K., Hara Y., Kaji K.: "Tea catechins inhibit angiogenesis in vitro, measured by human endothelial cell growth, migration and tube formation, through inhibition of VEGF receptor binding."Cancer Letters. 180. 139-144 (2002)
-
[Publications] 小林智美, 太田敏郎, 江頭登, 原征彦, 加治和彦: "食品成分による血管新生抑制とその分子機構"日本癌学会総会記事. 93. 329 (2002)
-
[Publications] Igura K., Ohta T., Kuroda Y., Kaji K.: "Resveratrol and quercetin inhibit angiogenesis in vitro."Cancer Letters. 171. 11-16 (2001)
-
[Publications] Hayakawa S., Saeki K., Sazuka M., Suzuki Y., Shoji Y., Ohta T., Kaji K., Isemura M.: "Apoptosis induction by epigallocatechin gallate involves its binding to Fas."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 285. 1102-1106 (2001)
-
[Publications] 江頭登, 近藤貴子, 太田敏郎, 加治和彦, 伊倉宏一, 原征彦, 渡邊秀臣: "茶カテキンはin vitroモデル系において血管新生を抑制する"日本癌学会総会記事. 92. 462 (2001)